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873. 世界農業生産性

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873. 世界農業生産性

農業生産性の向上は、食料安全保障と環境保全を両立しながら、拡大する世界人口に栄養に富む食料をとどける上で欠かせません。10月3日、バージニア工科大学が、世界農業生産性レポート(Global Agricultural Productivity Report, GAP Report)を発表、近年、世界の農業生産性の向上が停滞している動向に言及、非持続的な生産慣行に頼らずに農業需要を満たすには、世界は平均年率1.91%の農業生産性向上を達成する必要性があると指摘しました。

持続的な生産性向上は、農業生産と環境目標を両立する前提条件となります。レポートによると、2011-2021年の間、全要素生産性で示される世界の農業生産性は年率平均1.14%上昇しました。しかし2050年までに増加する世界人口の農業需要を満たすには、年率で1.91%の農業生産性向上が必要です。もし生産性向上が達成されなければ、非持続的な生産慣行に過度に依存せざるを得ず、農業生産性の低下を加速することになります。

レポートは、あらゆる規模の生産者に対し、以下に挙げるような生産性・効率性向上技術・慣行へのアクセス保証を訴えました。

 

遺伝資源:収量を最大化し、栄養に富み、様々な環境ストレスへの耐性を有し、最低限の投入財のみ必要とする作物・家畜遺伝資源

精密農業:生産経営・資源利用効率性向上につながるデータ、技術、自動化技術

土壌の健全性と管理:土壌浸食を抑制し、雨水浸透を最大化し、養分循環を改善し、投入財の必要性を減らし、土地の強靭性を向上する土壌管理を通じた持続的生産性向上

統合された生産システム:現場レベルでの生産システム統合を通じた、農業生産性向上・エコシステムサービス強化・資源利用の環境負荷削減の実現

病害虫防除:エコシステムサービスを維持しつつ、生産性・コストに大きな影響を及ぼす病害虫の効率的な防除を通じた持続的な生産性改善

機械化と自動化:労働生産性を最大化し、生産の質を向上し、ロスを最小化し、資源利用効率を最大化する機械・エンジニアリング活用

知識共有のプラットフォーム:新規および既存の生産性向上ツールに関する知識の共有を通じたツール最適活用やコスト最小化


(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

 

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