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1563. 世界人口の4分の1が「極めて高い水ストレス」に直面

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1563. 世界人口の4分の1が「極めて高い水ストレス」に直面

 

世界資源研究所(WRI)が2023年に公表した「Aqueduct Water Risk Atlas」の分析によると、世界の25か国では、毎年「極めて高い水ストレス」に直面しています。これらの国々には世界人口の約4分の1が居住しており、利用可能な再生可能水資源の大部分が恒常的に利用されている状況です。また、世界人口の少なくとも半数に当たる約40億人が、年間の少なくとも1か月を高い水ストレスの下で暮らしているとWRIは推計しています。

ここでいう水ストレスとは、水需要と再生可能な水供給量の比率を用いて、地域の水資源をめぐる利用者間の競合の程度を示す指標です。WRIのAqueductでは、利用可能な再生可能水資源に対する取水量が80%を超える状態を「極めて高い水ストレス」、40%を超え80%以下の状態を「高い水ストレス」に分類しています。なお、取水には灌漑農業、畜産、産業および生活用水などが含まれます。

WRIによれば、世界の水需要は1960年以降、2倍以上に増加しました。その背景には、人口増加に加え、灌漑農業、畜産、エネルギー生産、製造業などの拡大があります。さらに、水インフラへの投資不足、持続可能性を欠く水利用・管理、気候変動に伴う降水や水供給の変動性の増大なども、水ストレスを高める要因として指摘されています。

WRIの分析では、水ストレスが最も深刻な地域は中東・北アフリカです。同地域では、人口の83%が極めて高い水ストレスにさらされています。南アジアでも人口の74%が同じ区分に該当します。このような地域では、水需要と水供給の間に余裕がほとんどないため、短期的な干ばつや水供給の変動であっても、生活用水、農業生産、産業活動、発電などに深刻な影響が及ぶおそれがあります。

WRIは、人口増加、経済発展および気候変動への対応が不十分な場合、水ストレスが今後さらに深刻化する可能性を示しています。世界全体の水需要は2050年までに20~25%増加すると予測されており、極めて高い水ストレスの下で生活する人口は、さらに約10億人増加する可能性があります。中東・北アフリカでは、2050年までに人口の100%が極めて高い水ストレスにさらされる可能性があるとWRIは見込んでいます。一方、サブサハラ・アフリカの多くの国は、現時点では極めて高い水ストレスの状態にはありません。しかし、同地域では2050年までに水需要が163%増加すると予測されています。この需要増は、主として灌漑や生活用水の拡大によるものとされています。

水ストレスは、人々の生活に加え、経済成長と食料安全保障にも重大なリスクをもたらします。WRIのAqueductの分析によれば、2050年には世界のGDPの31%に相当する約70兆ドルが高い水ストレスにさらされる可能性があります。農業面では、世界の灌漑農業の60%がすでに極めて高い水ストレス下にあり、特にサトウキビ、小麦、コメ、トウモロコシなどの主要作物が影響を受けやすいと指摘しています。

一方でWRIは、水ストレスが高いこと自体が必ずしも水危機に直結するわけではなく、適切な水管理によってリスクを低減できるとしています。具体策として、水ガバナンスの改善、農業における水利用効率の向上、自然を活用したインフラ整備、湿地・マングローブ・森林の保全・回復、再生水利用、都市の水レジリエンス向上、太陽光・風力など水消費の少ない再生可能エネルギーの導入などを挙げています。

気候変動、人口増加、経済発展による水需要の増加に対応するには、国・地域・流域それぞれの水文条件、土地利用、産業構造、社会的脆弱性を踏まえた包括的な水資源管理が必要です。特に農業部門では、生産性向上と水利用の効率化を両立させる技術・制度の整備が、食料安全保障と水安全保障の双方にとって重要になると考えられます。

 

(参考文献)
Kuzma, S., Saccoccia, L., & Chertock, M. (2023). 25 Countries, Housing One-Quarter of the Population, Face Extremely High Water Stress. World Resources Institute. https://www.wri.org/insights/highest-water-stressed-countries

(文責:戦略統括室 飯山みゆき)

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