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1058. 2024年世界人口デー 世界に占めるアジアモンスーン地域の人口動態・経済的シェア
1058. 2024年世界人口デー 世界に占めるアジアモンスーン地域の人口動態・経済的シェア
7月11日は世界人口デーです。世界人口デー(World Population Day)は、世界の人口問題について関心を高めるため、1989年に国連人口基金が提案し、1990年に国連総会で正式に国際デーとして定められました。1987年の7月11日に世界の人口がおよそ50億人を超えたことから、この日に決まりました。
国際農研は、長年の農林水産業分野での国際共同研究経験を生かし、アジアモンスーン地域での、我が国発の農林水産分野の技術の応用促進を目指し、令和4年度からグリーンアジアプロジェクトを開始しホームページ上で情報を提供しています。今回、グリーンアジアレポートシリーズ「アジアモンスーン地域における科学・技術・イノベーションの適用を通じた持続可能な食料システムの変革の推進 ~「グリーンアジア」プロジェクトの背景と主要な課題~」の中から、アジアモンスーン地域の人口動態・経済的シェアについて紹介します
世界に占めるアジアモンスーン地域の人口動態・経済的シェア
アジアモンスーン地域23 の国・エコノミーの全域を対象とする場合、世界人口の52%に相当する39 億9000 万人が世界の総陸地面積の15%に住んでいることになり、この地域のGDP は世界の33%を占めています。中国とインド*については、アジアモンスーン気候の行政単位のみを抽出すると、それぞれ総陸地面積の33%、69%に相当します。一方、両国では、相対的に多くの人および経済活動が「モンスーン」気候帯に集中しており、人口とGDP のシェアでそれぞれ、中国では75%・78%、インドでは77%・73%を占めています。
*中国とインドのように広大な領域を抱える国の場合、「モンスーン」気候区分から外れている領域部分も大きいため、これら2カ国については、データを行政(省、州)レベルで検証し、ケッペン気候区分のうちAf、Am、Aw、Cw、Cfa、Cfb に該当する行政単位を、アジアモンスーン地域に含まれるものとみなしました。
2018 年時点で推定33 億4000 万人、すなわち世界人口の44%が世界の総陸地面積の9%に相当する面積に住んでおり、この地域のGDP は世界の28%を占めることになります。言い換えると、アジアモンスーン地域は、世界の陸地面積のわずか10%も占めていないにもかかわらず、世界的にみて人口動態上そして経済的に極めて大きな存在感を有しています。アジアモンスーン地域の人口密度は、1 平方キロメートル当たり292 人であり、これは世界平均のほぼ5 倍に相当します。
アジアモンスーン地域の経済は成長が予測される一方、食料安全保障の確保は引き続き重要な課題となっています。最近の国連の推計によると、世界で7 億200 万人~8 億2800 万人(中央値7 億6800 万人)の飢餓人口のうち、2 億7800 万人のアフリカ(地域人口の20.2%)を絶対数で超える、半数以上の4 億2500万人がアジアに(地域人口の9.1%)住んでおり、同時にアジア人口の10.5%が深刻な食料安全保障の不安を抱えています。
国連の世界人口推計(UN World Population Prospects)によると、中位推計シナリオでは、21 世紀の間に、世界人口に占めるアフリカの人口の相対的なシェアが増加することにより、アジアモンスーン地域の人口の世界に占める相対的なシェアは、2020 年の44%から2050 年の40%に、さらに2100 年には31%に減少します。一方で、この国連の中位推計シナリオでは、2050 年までに、この地域の人口の絶対値は4 億2000 万人増加して38 億8000 万人になることが予測されています。それゆえに、この地域は、増加する食料需要に対応して食料安全保障の確保と貧困撲滅を実現し、予測される経済発展と都市化の結果もたらされる食生活の変化に対応するため、食料生産を拡大する必要があります。
(参考文献)
アジアモンスーン地域における科学・技術・イノベーションの適用を通じた持続可能な食料システムの変革の推進 ~「グリーンアジア」プロジェクトの背景と主要な課題~
https://doi.org/10.34556/0002000087
World Population Prospects 2022
https://population.un.org/wpp/
(文責 情報プログラム 飯山みゆき、情報広報室 金森 紀仁)