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1555. 2026年7月の世界食料価格動向(FAO食料価格指数)
1555. 2026年7月の世界食料価格動向(FAO食料価格指数)
国連食糧農業機関(FAO)が2026年8月7日に公表した2026年7月の食料価格指数は、平均131.1ポイントとなり、前月から0.7ポイント(0.6%)上昇しました。穀物、砂糖および植物油の価格指数の上昇が、食肉および乳製品の価格指数の低下を上回ったことが主な要因です。前年同月比では1.3ポイント(1.0%)高い水準となりましたが、2022年3月に記録した過去最高値と比べると29.1ポイント(18.2%)低い水準にあります。
以下、各品目の動向はFAOの公表内容に基づいて紹介します。
穀物
穀物価格指数は平均113.8ポイントとなり、前月比3.8ポイント(3.4%)上昇、前年同月比では7.3ポイント(6.9%)上昇しました。小麦価格は5.8%上昇し、前年同月比でも9.9%高い水準となりました。黒海地域からの輸出の混乱や輸出インフラへの被害に対する懸念に加え、主要生産国における熱波の影響が価格上昇の要因とされています。
トウモロコシ価格も前月比3.6%上昇しました。米国コーンベルトの一部で高温・乾燥への懸念が高まったことに加え、地政学的緊張によるエネルギー市場の上昇が影響したとされています。ソルガム価格も米国のトウモロコシ価格上昇に連動して小幅に上昇しました。
一方、大麦価格は、豪州および黒海地域の良好な作柄見通しがEUの熱波による収量減少の影響を上回ったことから1.9%下落しました。米価格指数は、インディカ米価格が小幅に上昇した一方で、他の主要取引品種が需要の弱さを背景に下落したため、全体としてはほぼ横ばいとなりました。
植物油
植物油価格指数は平均195.7ポイントとなり、前月比3.7ポイント(2.0%)上昇しました。2022年6月以来の高水準です。パーム油および大豆油価格の上昇が、ヒマワリ油および菜種油価格の下落を上回りました。
パーム油価格は、インドネシアのバイオディーゼル部門からの堅調な需要と原油価格の上昇を背景に、2か月連続で上昇しました。大豆油価格も、米国における原料需要の強さや世界的な輸入需要の増加に支えられ上昇しました。一方、ヒマワリ油および菜種油価格は、2026/27年度の供給増加見通しを背景に下落しました。ただし、黒海地域における緊張の再燃と、それが輸出に及ぼす影響への懸念が下落幅を抑制しました。
食肉
食肉価格指数は平均127.7ポイントとなり、前月比3.6ポイント(2.8%)低下しました。ただし、前年同月比では1.1ポイント(0.8%)高い水準でした。2026年に入って初めての月次低下であり、羊肉を除くすべての食肉カテゴリーで価格が下落しました。
鶏肉価格は、ブラジルからの輸出供給が潤沢であったことから下落しました。また、抗菌剤に関する要件を理由とするEU市場への将来的なアクセスをめぐる不確実性により、高付加価値品が代替市場へ振り向けられるとの見方が強まり、競争の激化と価格下押しにつながる可能性があるとされています。
豚肉価格も、EUにおける供給の潤沢さと世界的な需要の弱さを背景に低下しました。一方、夏季の高温による家畜の成長率低下が、一部で価格を下支えしました。牛肉価格は、アジアからの輸入需要の鈍化を受けて下落しました。これに対し、羊肉価格は、オセアニアからの輸出余力が引き続き限られる中で堅調な輸入需要に支えられ、過去最高値を更新しました。
乳製品
乳製品価格指数は平均116.2ポイントとなり、前月比0.8ポイント(0.7%)低下しました。前年同月比では38.4ポイント(24.8%)低い水準となっています。4月以降の低下傾向が継続しており、バターおよび粉乳価格の下落が、チーズ価格の小幅な回復を上回りました。
脱脂粉乳価格は、EUおよびオセアニアからの輸出供給の潤沢さに加え、それまでの価格上昇を受けた慎重な買付けを背景に、前月比3.3%下落しました。ただし、脱脂粉乳は乳製品のうち唯一、前年同月を上回る水準で取引されました。全脂粉乳価格は、中国を中心とする輸入需要の弱さが、東南アジアや近東からの堅調な購入を上回り、輸出競争の強まりも加わって3.1%下落しました。バター価格も、乳脂肪の供給改善と輸出供給の拡大により2.4%低下しました。
一方、チーズ価格指数は、EUにおける季節的な生乳供給の減少を背景に1.7%上昇し、約1年ぶりの月次上昇となりました。
砂糖
砂糖価格指数は平均95.0ポイントで、前月比5.1ポイント(5.6%)上昇しました。ただし、前年同月比では8.3ポイント(8.0%)低い水準にあります。価格上昇の主な要因として、EUにおける高温・乾燥の長期化や、アジアの主要生産国でみられるエルニーニョ関連の気象条件が、生産見通しに与える影響への懸念が挙げられています。また、ブラジルにおけるガソリンへのエタノール混合率引き上げ措置に伴うエタノール需要の拡大観測も価格を押し上げました。サトウキビのより多くの割合がエタノール生産に振り向けられれば、砂糖の供給余力が減少する可能性があります。ただし、ブラジル中南部の主要産地で収穫条件が改善したことから、国際砂糖価格の上昇幅は限定的となりました。
おわりに
FAOの公表によれば、2026年7月は穀物、砂糖、植物油の価格が上昇した一方、食肉および乳製品は下落し、品目ごとに異なる動きがみられました。とりわけ、黒海地域をめぐる地政学的リスク、主要生産地域における高温・乾燥、エネルギー市場やバイオ燃料需要の動向が、国際食料価格の変動要因として影響を与えています。今後もこれらの要因が国際食料市場に及ぼす影響に注目する必要があります。
(文責:戦略統括室 飯山みゆき)