Pick Up
1513. 2026年5月の 世界食料価格動向(FAO食料価格指数)
1513. 2026年5月 の世界食料価格動向(FAO食料価格指数)
国連食糧農業機関(FAO)が公表した2026年5月の食料価格指数は、平均130.8ポイントとなり、前月からほぼ横ばい(前月比▲0.2%)で推移しました。穀物および砂糖価格指数の上昇が、植物油および乳製品の価格指数の低下によって相殺された結果です。食肉価格指数は前月からほとんど変化がありませんでした。前年同月比では2.9%上昇しているものの、2022年3月に記録したピーク値からは18.4%低い水準にあります。
以下、各品目の動向はいずれもFAOの公表内容に基づきます。
穀物価格指数は平均114.3ポイントとなり、前月比で2.6%上昇、前年同月比では4.9%上昇しました。小麦価格は4か月連続で上昇しており、米国の冬小麦の作況悪化や主要輸出国における収穫見通しの下方修正が背景とされています。また、燃料価格や肥料価格の上昇もコスト増要因として影響しました。トウモロコシ価格は、主要輸入国の需要拡大やブラジル・米国における供給懸念、さらにエタノール需要の強さを背景に上昇しました。ソルガムおよび大麦の価格も、小麦やトウモロコシ市場の引き締まりの影響を受けて上昇しました。米価格指数は2.7%上昇し、アジアの主要輸出国における天候不安や原油価格の動向が価格を下支えました。
植物油価格指数は平均185.0ポイントとなり、前月比で4.6%低下しました。年初以降続いていた上昇傾向が初めて反転しました。パーム油価格は、世界的な輸入需要の鈍化懸念や原油市場の不透明感を背景に下落しました。大豆油価格は、南米における供給増加が下押し要因となる一方、米国のバイオ燃料需要が下支えしました。菜種油およびヒマワリ油の価格は、EUやウクライナにおける供給制約を背景に上昇しました。
食肉価格指数は前月比でほぼ横ばい(+0.1%)となりましたが、前年同月比では6.3%上昇しました。牛肉価格は、中国や米国を中心とした輸入需要の強さや、主要生産国における牛群再構築に伴う供給制約を背景に上昇しました。羊肉価格も、ニュージーランドにおける供給不足を背景に上昇しました。一方、豚肉価格はEUでの供給増加と輸入需要の低迷により下落しました。鶏肉価格は、ブラジル産への堅調な需要を背景に小幅に上昇しました。
乳製品価格指数は前月比で0.5%低下し、前年同月比では22.4%低い水準となりました。バター価格は、欧州およびオセアニアにおける供給改善と輸出競争の激化を背景に下落が続きました。チーズ価格も小幅に低下しました。一方で、脱脂粉乳価格は中東、北アフリカおよびアジアの一部地域からの需要増加に支えられて上昇しました。全脂粉乳価格は、オセアニアでの供給引き締まりによる上昇と欧州での需要低迷による下落が相殺され、全体としてはほぼ横ばいとなりました。
砂糖価格指数は前月比で7.5%上昇し、2025年10月以来の高水準となりました。ただし、前年同月比では13.1%低い水準です。背景には、世界的な供給逼迫への懸念があります。ブラジルではサトウキビのエタノール向け利用の拡大により砂糖生産が減少する可能性が指摘されています。また、2026年後半に予想されるエルニーニョ現象が、インドやタイの生産に影響を及ぼす可能性も価格上昇要因とされています。
2026年5月の食料価格は全体として安定的に推移しましたが、穀物価格の上昇や砂糖市場における供給不安の高まりが見られます。特に、主要生産地域における気象条件の悪化やエルニーニョ現象の発生可能性は、今後の国際食料市場における重要なリスク要因として引き続き注視する必要があります。
(文責:戦略統括室 飯山みゆき)