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1375. 気候研究からの10の洞察

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1375. 気候研究からの10の洞察

 

11月10日~21日、ブラジル・ベレンで国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第30回締約国会議(COP30)が開催され、京都議定書発効から20年、パリ協定採択から10年の節目のタイミングに、これまでの合意事項についての実施状況の確認や、新たな目標、取り組みについて議論が行われます。多くの研究機関が、COP30に向けて、政策提言を行っています。

Future Earth等の研究機関は、過去18ヶ月間の気候研究にもとづき、政策立案に重要な10のポイントを発表しました。報告書は、特に北半球の森林と土壌といった陸上の炭素吸収源の弱体化が、今日の排出量予測を狂わせ、地球温暖化を加速させる恐れがあると警告しています。

今年の10の洞察は以下の通りです。

  • 2023/24年の記録的な温暖化:近年の地球温暖化の要因に関する証拠は、地球温暖化が加速している可能性を示唆しています。
  • 加速する海洋温暖化:急速な海洋温暖化と激化する海洋熱波は、生態系に悪影響を及ぼし、異常気象のリスクを高めています。
  • 陸上の炭素吸収源への負担:地球温暖化が進むにつれ、世界の陸上の炭素吸収源はストレスの兆候を示しています。
  • 気候と生物多様性のフィードバック:生物多様性の喪失と気候変動は、不安定化をもたらすループの中で互いに影響を及ぼし合っています。
  • 地下水位の低下:気候変動は地下水の枯渇を加速させ、農業と都市居住地へのリスクを増大させています。
  • 気候変動に起因するデング熱の流行:気温上昇はデング熱を媒介する蚊にとって好条件を作り出し、感染の地理的拡大と深刻化を招いています。
  • 労働生産性への影響:熱中症の増加は、労働時間と経済生産を減少させると予測されています。
  • 二酸化炭素除去(CDR)の拡大:CDRを責任ある形で拡大することは不可欠ですが、排出量削減に重点を置き、気候変動のオーバーシュートを抑制する必要があります。
  • 炭素市場の健全性に関する課題:真の緩和効果を確保するには、自主的な炭素市場における基準と透明性を強化する必要があります。
  • 効果的な政策ミックス:抜本的かつ持続的な排出削減を達成するには、慎重に設計された政策ミックスが単独の対策よりも効果的です。

 


(参考文献)
Future Earth, The Earth League, WCRP (2025). 10 New Insights in Climate Science 2025/2026. Stockholm. https://10insightsclimate.science/wp-content/uploads/2025/10/10NICS-202…


(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

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