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751. 人新世における人類と自然との関係

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751. 人新世における人類と自然との関係

人新世(the Anthropocene) とは、人類が地球の地質や生態系に重大な影響を与える発端を起点として提案された想定上の地質時代を指します。人新世がいつから始まるかについては様々な学術分野からの議論があるようですが、二酸化炭素の大気中濃度の急上昇や窒素・リンのサイクル加速という点から考慮すると1950年頃を起点とするのが妥当とされるようです。

欧州環境機関(European Environment Agency)は、このたび、報告書(Exiting the Anthropocene? Exploring fundamental change in our relationship with nature)を公表、進行中の人新世における人類と自然との関係についての認識を根底から変える必要性について提起しました。

報告書は、欧州グリーンディールなどの政策だけでは十分ではなく、とくに以下の点を指摘し、消費主義をはじめとする既存の考え方・パラダイムそのものを根底から転換する必要性を訴えました。

人類は他のどんな生物よりも地球の在り方に影響を及ぼし、学者らによって「人新世」と定義される地質時代をもたらしています。人類が自然エコシステムと人間社会にもたらす脅威は次第に大きくなり、ここ数十年で破壊的な影響を及ぼすようになっています。とりわけ1950年代以降は、人為的な活動という共通原因により、気候変動は加速し、自然生態系の破壊が進行しています。

環境が直面する課題についての認識は、過去100年間で格段に深まりましたが、自然保護に対する制度的な対応は不十分です。十分に意図された政策でさえ、「我々」である人間とその他の種である「彼ら」の分断に囚われており、再考が必要です。とりわけ、自然を資本の源泉と見なすことを改め、自然を余所者ではなくそのものが本来持つ価値を尊重すること、自分事として生物多様性を保護するためのモチベーションを解き放つべきです。

 

(参考文献)
European Environment Agency. Exiting the Anthropocene? Exploring fundamental change in our relationship with nature. https://www.eea.europa.eu/publications/exiting-the-anthropocene/exiting…


(文責:情報プログラム 飯山みゆき)


 

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