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601. TICAD Weeks

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601. TICAD Weeks

今週末は第8回アフリカ開発会議(TICAD8)が開催されます。TICADとは、Tokyo International Conference on African Developmentの略であり、アフリカの開発をテーマとする国際会議です。1993年以降、日本政府が主導し、国連機関等と共同で開催しています。 

TICAD8を機に、国際農研は、アフリカに関する国際農研の研究をとりまとめた「アフリカ農業研究特設ページ」を開設しました。

https://www.jircas.go.jp/ja/africa-research

 

さらに、8月5日にササカワ・アフリカ財団と「健全な土壌とアフリカの食料安全保障:―環境再生型農業の可能性―」を成功裏に開催しました。 

このPick Upで既に何度かお知らせしていますが、8月30日には、国際農研主催、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)、独立行政法人 国際協力機構(JICA)の後援で、アフリカ農学と土壌肥沃度・貧栄養土壌管理の課題と題したイベントを開催します。

このテーマは、アフリカ農業へのかかわりで、とくに国際農研が優れた成果を出してきた分野です。過去数十年間にわたり、他の地域に比べても、アフリカにおける作物生産は伸び悩んできましたが、その原因の一つとして、肥沃度の低い土壌環境があります。また、肥料の使用量も少なく、その多くは輸入品であるため、資源に乏しい農家にとっては必ずしも入手しやすい価格ではないことも制約要因になってきました。さらに、地域間だけでなく、地域内・圃場内での土壌条件の多様性が最適施肥技術の適用範囲を限定しています。

近年、先進国等における過剰施肥による環境汚染・温室効果ガス排出が地球における窒素・リンなどの化学肥料循環の不均衡をもたらし、プラネタリー・バウンダリーの視点から肥料の効率的利用や温室効果ガス削減のイノベーションが模索されています。国際農研が国際農業研究機関や、アジアやラテンアメリカの研究機関 と協同で開発している生物的消化抑制(BNI)技術は、既に過剰施肥による環境汚染・温室効果ガス排出といった課題を抱えた農業システムへの解決策といえます。他方、もともと肥料を適量施肥できていなかったアフリカ諸国は、昨今の肥料価格の高騰で農民による肥料の入手がますます困難となり、土壌の健全性と生産性を維持し向上することが課題となっています。

このイベントでは、国際農研の長年にわたるマダガスカル・ブルキナファソでの研究活動のほか、アフリカで肥料販売・普及に取り組む企業やNGOの取り組みを踏まえ、地球の健康およびアフリカの食料栄養安全保障という双方の観点から、希少な肥料を有効活用し、土地・労働生産性の持続的向上を可能にするイノベーションの在り方を議論する予定です。


TICAD8公式サイドイベント「アフリカ農学と土壌肥沃度・貧栄養土壌管理の課題」
日時:2022年8月30日(火) 17:00~19:00(日本時間)
主催:国際農林水産業研究センター(国際農研;JIRCAS)
後援:国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)、独立行政法人 国際協力機構(JICA)
(申込締切: 2022年8月29日(月) 16:00)
日: https://www.jircas.go.jp/ja/event/2022/e20220830 
英: https://www.jircas.go.jp/en/event/2022/e20220830


また、今週から来週にかけ、国際農研のネットワークからも、アフリカ・国際社会の関係機関と共同でアフリカ開発にかかわる多くの開発機関NGOsがオンライン等でイベントを行います。ぜひ、この機会にアフリカ農業の課題に触れてみてください。

(文責:食料プログラム 中島一雄、生産環境・畜産領域 辻本泰弘、中村智史、南雲不二男、 情報広報室 金森紀仁、情報プログラム 飯山みゆき)

 

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