TICAD8 公式サイドイベント
「健全な土壌とアフリカの食料安全保障 ―環境再生型農業の可能性―」

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国名
アフリカ

背景

アフリカの農業は、長らく、慢性的な低土壌肥沃度と、養分の収奪により、農業生産性の低迷と食料安全保障の危機に悩まされてきました。今、アフリカの農業発展において、「健康な作物を生産するための健全な土壌  ‘a healthy soil producing a healthy crop’」の必要性は、かつてないほど重要性を増しています。土壌管理にも気候変動への対応や環境再生が求められる昨今、アフリカ農業も例外ではありません。

近年、環境再生型農業(Regenerative Agriculture: RA)が、世界的な注目を浴びるようになっています。RAは土壌中の微生物による活動を促進し、機械による土壌攪乱を最小化し、土壌被覆作物を利用し、農業生物の多様性を促すことで、土壌有機物を増やす慣行を奨励しています。RAのこうした活動は、土壌の生物学的・物理的・化学的構造を改善し、作物の栽培環境を向上させ、価格の高騰が著しい化学肥料等の使用を削減することで生物多様性の保全と土壌の健康を維持することを可能にするとされています。また、耕起を最小化しマルチを施すなどの改良型栽培法は、土壌有機物を保持することでとりわけ植林等の炭素貯留手法との組み合わせにより、気候変動緩和への貢献も期待されています。

一方、土壌の肥沃度が低く、土壌養分の流出が進んでいるアフリカの小規模農業においては、これまで、「持続的農業集約化(Sustainable Agricultural Intensification: SAI)」が推進されてきました。SAIは、総合的土壌肥沃度管理などを通じた生産性の向上に重きを置きつつ、各地域の土壌・気候・社会経済条件に応じて、有機・無機肥料の使用や耕起を併用することを提案しています。
つまり、アフリカの小規模農業の文脈においてRAのビジョンを実現するには、土壌の健康の回復と共に、従来のSAIを通じた食糧安全保障を両立させた、アフリカの小規模農家が実践できる「真に“再生可能”な土壌の健康管理」を定義し、実現していく必要があります。本イベントでは、アフリカの小規模農家を取り巻く環境の多様性を理解した上で、「環境再生型農業」とは何かを定義し、RAをアフリカの小規模農業で実現するための技術的な取り組みと普及アプローチについて議論します。

更新情報

  • 2022-08-25
    • 「開催報告」と「動画アーカイブ」へのリンクを追記しました。
主催

ササカワ・アフリカ財団

共催

国際農林水産業研究センター

開催日
2022年8月5日(金) 19:30~22:15(日本時間)
場所
オンライン(Zoom)
プログラム

MC:Mel Oluoch氏(SAA戦略パートナーシップ事務所長)

時間(日本時間)

プログラム

講演者(敬称略)

19:30~19:38

開会の辞

- Hon. Prof. Ruth Oniang’o(SAA会長)
- 小山 修 (国際農研 理事長)

19:38~20:18

1. 基調講演
「世界的な農業生産性の課題を改善させる手段としての環境再生型農業の可能性」
「アフリカの小規模農家にける食料安全保障と環境再生型農業の両立-農学的見地から-」


- Prof. Rattan Lal(オハイオ州立大学特別栄誉教授)
- Prof. Ken Giller(ワーゲニンゲン大学教授)

20:18~20:58

 

2. 現場からの報告
「エチオピアにおける環境再生型農業の事例」
「ガーナにおける環境保全型農業」
「食料と栄養の安全保障、気候変動対策、生態系回復のための土壌健全性モニタリング」


- Dr. Fentahun Mengistu(SAAエチオピア事務所長)
- Dr. Kofi  Boa(アフリカ不耕起農業センター(CNTA) ディレクター)
- Dr. Leigh Winowiecki
(CIFOR-ICRAF 土壌と土地の健全性に関する国際研究リーダーおよびAction 4 Soil Health連合の共同リーダー)

20:58~21:13

3. 研究報告
「農家による食料安全保障を実現可能にする健全な土壌づくりのための研究」


- 中村智史 (国際農研 プロジェクトリーダー)

21:13~21:53

4. パネルディスカッション

論点
「アフリカの小規模農業において土壌の健全性と食料安全保障の両輪を達成するため、環境再生型農業のビジョンをどのようにイノベーションにするか?その意義と方法」

モデレーター:飯山 みゆき(国際農研 情報プログラム プログラムディレクター

H.E. Dr. Eyasu Elias(エチオピア農業省天然資源開発担当国務大臣)
Dr. Edmundo Barrios(国連食糧農業機関(FAO)作物生産・保護部門 農業担当官)
Dr. Tilanhun Amede(アフリカ緑の革命のための同盟(AGRA)レジリエンス・気候・土壌責任者)
Dr. Sani Miko(SAAナイジェリア事務所長)

21:53~22:05

5. 質疑応答

 

22:05~22:15

6. 閉会の辞

Dr. Amit Roy(SAA副会長)


 
受付期間
- (日本時間)
申込受付
ササカワ・アフリカ財団(SAA) TICAD8 サイドイベント運営事務局
申込締切:
(日本時間)
動画アーカイブ
開催報告
ポスター
問い合わせ先

ササカワ・アフリカ財団 TICAD8 サイドイベント運営事務局

  • 住所
    〒105-0001 東京都港区虎ノ門 1-15-16 笹川平和財団ビル5階
  • 電話
    03-6257-1870
  • FAX
    03-6257-1874
  • Email
    saa_ticad8@c-linkage.co.jp
  • URL
    https://www.saaticad8.com/

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