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472. 2022年1月の食料価格動向

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472. 2022年1月の食料価格動向

2022年2月3日、国連食糧農業機関(FAO)は、2021年12月に比べ、2022年1月の食料価格指標は1.5ポイント(1.1%)上昇し、135.7ポイントを記録したと発表しました。この上昇は、主に植物油主要生産国の供給制約を受けた価格高騰を反映しているようです。

FAOの穀物価格指標は前月の2021年12月からほんの少し(0.1%)上昇し140.6ポイントでした(前年比では+12.5%)。世界小麦価格はオーストラリアとアルゼンチンでの豊作を受けて3.1%下落しましたが、旺盛な需要により下げ止まっています。対照的に、トウモロコシの輸出価格は南米での干ばつの懸念を受けて12月から3.8%上昇しました。コメ価格も低い収穫量に対するアジアでの購入需要で前月より3.1%上昇しています。

穀物価格に対し、2022年1月のFAOの植物油指標は、パーム(アブラヤシ)・ダイズ・菜種・ヒマワリオイルの値上がりを反映し、前月比で7.4ポイント(4.2%)上昇、史上最高値の185.9ポイントを記録しました。とくにパームオイルの最大の生産国の一つであるインドネシアにおける労働者不足や悪天候を受けた輸出減や、主要生産国での供給制約の懸念を反映したそうです。大豆価格もインドなどからの堅調な輸入を受けて上昇しました。その他の植物油価格も全般的に上昇傾向にあり、最近の原油価格上昇の影響もあるとのことです。

ダイズの使途・生産地拡大については昨日の記事で紹介しました。 パームオイルは食用油のほか、マーガリン、ショートニング、石鹸の原料として利用されています。 その起源はアフリカにあるとされますが、現在はインドネシア・マレーシアなど東南アジアが主要生産国となっています。Our World in Dataのまとめによりますと、アブラヤシの1ヘクタール当たり2.8トンの油の収量で、ヒマワリや菜種(0.7トン)・ダイズ(0.45トン)と比べて際立って高く、世界の植物油生産地の8.6%相当の土地から36%のシェア相当の生産量を生み出しています。パームオイルは環境負荷や健康問題のコンテクストで話題にされることも多いですが、持続的で効率的な代替製品の開発と同時に、既存のパームオイル生産技術を持続化することの意義は非常に大きいと言えます。

国際農研は、民間企業との共同研究を通じ、インドネシア、マレーシアなど主に東南アジアで生産されるパームオイルの製造工程における環境負荷の低減に向けた取り組みを進めています。

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

 

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