1.会議・シンポジウム名
Seminar on Ecology & Genetics of dipterocarp forests: its role in sustainable forest management
2.開催日時
平成28年1月27日13:00~1月28日13:00
3.会場(開催国・開催年)
Awana Genting Hotel(ゲンティンハイランド、マレーシア国)
4.主催・後援等
主催:(研)国際農林水産業研究センター(JIRCAS)
共催:マレーシア森林研究所(FRIM)
5.会議概要
JIRCASがマレーシア森林研究所(Forest Research Institute in Malaysia, FRIM)と実施しているプロジェクト研究課題「マレーシア・フタバガキ択伐林業の持続性評価及び向上技術の開発」(持続的林業2)について、研究成果の発表ならびに普及広報を目的に表記のテーマでセミナーが開催されました。
参集範囲は以下の組織となり、FRIMから副所長とカウンターパート部署になる林業・環境部、林業バイオテクノロジー部のプログラム長と研究員、そしてステークホルダーである半島マレーシア連邦森林局長官をはじめ半島及びボルネオ島のサバ、サラワク州の森林局から局長ほか森林官、トレンガヌ州に長期伐採権を持つ企業(KPKKT)及び大学(UKM)から多くの参加がありました。日本からは基調講演をして頂いた筑波大学津村義彦教授をはじめ、森林総合研究所から新山馨国際連携推進拠点長、佐々木尚三産学官連携推進調整監(北海道支所)、野口正二チーム長、そしてJIRCASの4名(齋藤PD、林業領域から野田PL、谷、星野)を含めた8名で、参加総勢約46名でした。
半島マレーシア連邦森林局長官は、分野別セッションに先立つ基調演説の中で、半島マレーシアのフタバガキ科樹種は木材生産だけでなく生物多様性への貢献も高く今後とも調和のとれた持続的経営が求められておりフタバガキ科樹種の生育や環境条件の変化に対応する必要が生じていること、そのため科学的知見を踏まえた森林管理が益々重要となっていることを強調されるなど、我々のFRIM-JIRCAS共同研究プロジェクト成果への期待が大きいことが明示されました。
セッションは、生態学研究分野と遺伝学的研究分野の2部構成で開催されました。生態学分野のセッションでは、新山氏からは丘陵地フタバガキ科天然林の長期観測調査を通じて得られたバイオマス量と一斉開花現象に関する成果、佐々木氏からは熱帯地域における環境に優しい伐出技術、野口氏からは半島マレーシアで行われている択伐施業の水土保全への影響に関する成果、そして星野主任からはJICAが約20年前に設定したエンリッチメント植栽試験地を再調査・解析して得られたエンリッチメント植栽を成功させる技術的知見が報告されました。森林局からは現場に生かせる貴重な知見で実施が難しい長期観測で得られた試験結果であることなど、高く評価するコメントがありました。
遺伝学的研究セッションの冒頭に行われた津村氏による基調講演では、種苗移動に関するガイドラインの重要性が日本でのスギ、ヒノキなどの成果・事例をもとに専門的立場から解説されました。谷主任からは、平成22年度、平成25年度国際農林水産業研究成果情報に選ばれた内容を更に発展させたフタバガキ林の健全な種子生産を維持するための包括的な択伐技術に関する内容が発表されたほか、FRIMのカウンターパートから平成26年度国際農林水産業研究成果情報(主要普及成果)に選ばれた「マレーシア半島地区における林業種苗配布区域の設定手法」を用いた他のフタバガキ樹種等の有用林業樹種に関する種苗移動をゾーニングする必要性を示す成果が報告されました。これらに対して、森林局の関心も高く現場への適用が求められていることがうかがえました。
6.会場の様子