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253. 2020年のエネルギー関連CO2排出量

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新型コロナウイルス感染症感染拡大を抑制するための移動規制措置は、我々の生活、仕事、移動、社会関係に地殻変動的なシフトをもたらしました。とりわけ、輸送や航空セクターは大きく影響を受け、フードサプライチェーンの寸断の懸念ももたらしました。

2021年3月2日に公表された国際エネルギー機関(IEA)の報告によると、2020年の世界のエネルギー関連のCO2排出量は、5.8%(約20億トン)減少しており、これは第二次世界大戦以降で最大の年間減少率で、絶対量としては過去最大、EUの排出に相当する規模でした。この排出量削減の半分以上は、輸送や航空燃料の使用量の減少に由来しました。一方で、その後排出量はCOVID-19パンデミック以前のレベルにまで戻っており、2020年12月のCO2排出量は前年同月と比べると2%の増加に転じました。  

エネルギー分野以外では、農林業その他土地利用からの温室効果ガス排出はとても多く、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書によると、すべてのセクターのうち24%を示しています。2015年の時点で、グローバル・フードシステムからの温室効果ガス排出は二酸化炭素換算で毎年18ギガトン、全温室効果ガス排出の34%を占めました。このうち、71%が農業と土地利用・土地利用変化由来(34%の71%、よって全温室効果ガス排出の24%)であり、残りは小売り・輸送・消費・燃料生産・廃棄物管理・産業過程やパッケージングなどサプライチェーン活動によるものです。 

国際農研では、農業分野からの温室効果ガス排出削減のため、作物の窒素の利用効率を上げ排出を削減する技術の開発を行っていますが、これらが日本政府による「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の有望イノベーション(食料・農林水産業分野)に選定されました。また、水田からのメタン発生を抑えながらも作物の生産性を上げる技術を開発し、ベトナムで実証試験を行っています。
農業分野は温室効果ガス排出の削減だけではなく、炭素の貯留源としても注目されており、上記の水田からメタンの発生を抑える技術に加えて、稲わらを水田に鋤き込むことで、炭素を土中に隔離することにも成功しています。

参考
IEA: Global Energy Review: CO2 Emissions in 2020
https://www.iea.org/articles/global-energy-review-co2-emissions-in-2020
IPCC: AR5 Synthesis Report: Climate Change 2014
https://www.ipcc.ch/report/ar5/syr/
国際農研発のBNI技術が「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の有望イノベーションに選定
https://www.jircas.go.jp/ja/reports/2020/r20210129
気候変動に対応した開発途上地域の農業技術開発
https://www.jircas.go.jp/ja/program/program_a/20160112
稲わら堆肥連用はメコンデルタ水田に増収をもたらし、炭素隔離に貢献する
https://www.jircas.go.jp/ja/reports/2020/r20210129


(文責:研究戦略室 金森紀仁)