国立研究開発法人 国際農林水産業研究センター | JIRCAS

Pick Up

21. 新型コロナウイルス・パンデミック ― アースデイと生物多様性

2020-04-22

2020年4月22日現在、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) が世界中を席巻しています。国連環境計画 (UNEP)によると、4か月ごとに新しい感染症が発生し、その75%は動物由来であるとのことです。感染症の発現は、人間・動物・自然環境の間に極めて密接な関係があることを示しています。近年、動物から人へ伝播可能な人獣共通感染症 (zoonotic diseases) が増加している背景には、森林破壊・土地利用変化・化学肥料や薬品多用の農畜産業経営・違法な野生動物の取引増加、を通じた自然への人為的介入による生物多様性の破壊が多かれ少なかれ関わっていると考えられています (United Nations) 。

2019年、「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)」は、過去50年間に経済開発が自然にもたらした影響の包括的な分析に基づいて、『生物多様性と生態系サービスに関する地球規模アセスメント報告書』を公表しました。IPBESは、今日、800万の動植物種のうち、100万種が今から数十年内に絶滅しかねないという、人類史上いまだかつてない状況に直面していると警鐘を鳴らしました。生物多様性の減少は人間活動に起因するものであり、影響の大きいものから順に、(1)土地及び海洋の利用の変化、(2)生物有機体の直接利用、(3)気候変動、(4)汚染、(5)侵略的外来種、が要因と考えられています。生物多様性の喪失は、貧困、飢餓、健康、水、都市、気候、海洋、森林等に関連する持続可能な開発目標(SDGs)達成の進捗を遅らせかねません。人獣共通感染症の増加の背景も踏まえれば、生物多様性の保全は、単なる環境問題を超え、開発、経済、安全保障、社会、規範等多くの分野に関連する課題であることを認識する必要があります。

本日4月22日は「国際アースデー」であり、今年2020年はとくに50年目の節目だそうです。国連は、COVID-19と気候危機・生物多様性の喪失に言及し、アースデーを機に、人々と地球双方に優しい持続的経済へのシフトの緊急性を喚起しました。生物多様性の喪失要因である、(1)土地及び海洋の利用の変化、(2)生物有機体の直接利用、(3)気候変動、と密接に関わる農林水産業も、生物多様性保全と整合的な持続的システムへの転換が求められます。

 

追記:Pick Up 20で、二酸化窒素 (NO2) が大気汚染の尺度として使われることについて言及しましたが、ロックダウンによる経済活動停止による大気汚染の改善をよりビジュアル化して示したサイトが次のリンクに開設されたそうです(World Economic Forum: https://wef-prod.earthtime.org/m/stories/pandemic_skies ) 。

 

参考文献

Intergovernmental Science-Policy Platform on Biodiversity and Ecosystem Services (IPBES) (2019) Global Assessment Report on Biodiversity and Ecosystem Services. https://ipbes.net/news/Media-Release-Global-Assessment  (参考) https://www.jircas.go.jp/ja/program/program_d/blog/20190510

United Nations. International Mother Earth Day April 22, https://www.un.org/en/observances/earth-day  Accessed on April 22, 2019.

World Economic Forum. COVID-19 restrictions have cleared the air. For now. https://www.weforum.org/agenda/2020/04/covid-19-restrictions-have-cleared-the-air-for-now/ Accessed on April 22, 2020.

Pick Up 20. 新型コロナウイルス・パンデミック ― 世界経済危機と気候変動対策  https://www.jircas.go.jp/ja/program/program_d/blog/20200421

 

(文責:研究戦略室 飯山みゆき)

Rare mountain gorilla @ Rwanda

Gorilla reserve in Rwanda

Masai Mara @ Kenya

A forest adjacent to Masai Mara where farmland conversion is gradually progressing