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939. 気候変動対策の進展に望みを捨てるべきでない

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939. 気候変動対策の進展に望みを捨てるべきでない

先日、欧州コペルニクス気候変動サービスが2023年は史上最高に暑い年であったと発表しましたが、米航空宇宙局(NASA)アメリカ海洋大気庁(NOAA)によっても公式に確認されました。

Nature Climate Change誌は、昨年末にドバイで開催された国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)を振り返りつつ、気候変動対策の進展に望みを捨てるべきでない(hope for better)、との論考を発表しました。 その内容を紹介します。

COP28の数日前、イベントの目的に反し、開催国は化石燃料の増産を支援する動きを見せました。一方、イベント序盤には、世界の石油生産40%を占める企業とともにメタンを大幅に削減すると宣言し、米国も石油・ガス産業規制の方針を発表しました。メタン削減に向けた進展が期待されていた2023年ですが、最後のタイミングで実現したことになり、2024年にはさらなる展開が期待されます。 

COP28では、食料システム変革のコミットメントも発表されましたが、どのように温室効果ガス排出を削減するかの具体案については触れられていません。農業部門、とりわけ家畜と稲作はメタン排出と深いかかわりがあります。

COP28の最後には、「終わりの始まり」の実現に向け、初めて化石燃料を段階的に削減していくコミットメントが合意されましたが、国が決定する貢献(NDCs)にはまだ反映されていません。議論にとどまらず、気候変動インパクトを最小化するためのアクションに繋げていくことが重要です。


(参考文献)
Hoping for better. Nat. Clim. Chang. 14, 1 (2024). https://doi.org/10.1038/s41558-023-01922-y

 

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

 

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