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930. 2024年を迎えて

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930. 2024年を迎えて

 

2024年を迎えました。

2024年、新たな地質年代「人新世 The Anthropocene」の定義の承認について議論が予定されているそうです。

21世紀を迎えるころから、地球科学の研究者らは、気候変動・環境汚染・生物多様性喪失の相互作用を通じ、人類は新たな地質時代に突入したかもしれない、という議論を続けてきました。最初2000年に提唱された「人新世 the Anthropocene」概念に関する議論は、2023年にカナダのクロフォード湖を『国際標準模式層断面及び地点』(GSSP)候補地として推薦するに至りました。このクロフォード湖の深く攪乱されない湖底の堆積層は、木の年輪のように人類の活動の痕跡を年代順に記録しており、1950年代に化石燃料消費が世界的に上昇したことを反映しています。

人新世の始まりは、氷河期の終わりから11,700年ほど続いた完新世(the Holocene) の終わりを意味しています。科学的な議論は続いていますが、1950年を人新世の開始期とする意見が多い一方、近年加熱する月への進出競争に言及し、人類の影響は宇宙にも及んでいると主張する科学者もいるようです。地質学者らは、2024年8月に韓国で開催される国際地質科学連合にむけて、新たな地質年代を承認するかどうかの議論を行う予定だそうです。

人新世を定義することは、人類の経済活動が地球に及ぼす影響が地球史レベルで起きていること、地質中の炭素アイソトープ量などの変化に着目するにとどまらず、海洋堆積物におけるプラスチックの残留物に至ること、を認めることを意味しています。そして、気候変動への「適応」だけでは不十分で、地球の全生物の生存のために人類の経済活動を見直す必要性を意味しています。

 

20世紀半ばからの大量生産・消費に基づく社会経済変化には、食料システムも大きく関係しています。人新世を認めるにあたり、人為的な温室効果ガス排出の3分の1近くを占め、生物多様性喪失の最大の原因とされる食料システムを持続的に変革していくことが求められます。

 

2024年も、地球規模課題の取り組みとして食料システムに関する情報発信を続けてまいります。本年もPick Upをどうぞよろしくお願いいたします。

 

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

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