Pick Up

837. グローバル・ランド・スクイーズ

関連プログラム
情報

 

837. グローバル・ランド・スクイーズ

2050年までに世界人口が100億人近くに達すると予測される中、人類の食料・木材・都市化の需要は高まる一方です。

最近公表された世界資源研究所の報告書(The Global Land Squeeze: Managing the Growing Competition for Land)は、人口・経済成長による食・木材・都市化の需要増が土地利用変化を加速し、土地利用において気候変動および生物多様性保全目標と競合し、トレードオフをもたらしている状況を、「グローバル・ランド・スクイーズ」という言葉で表現しました。

報告書によると、従来通りのシナリオの下では、2010年から2050年の間に、作物需要は56%、食肉・乳製品の需要は70%、木材への需要は54%高まり、農業用地転換に6億ヘクタール、都市化に8000万ヘクタール、森林8億ヘクタール相当、の土地が必要となると推計されました。土地利用変化に伴う温室効果ガス排出は、二酸化炭素換算で、食料需要および都市拡大を満たすための年間排出は推計6.0ギガトンおよび0.7ギガトン、年換算で割引した木材需要の排出量は3.5-4.2ギガトン、に及ぶと予測されます。バイオ燃料生産や建築セクターにおける木材での資材代替は、さらに土地利用変化の圧力を高める可能性があります。

報告書は、有限な土地資源の持続的管理を目的として、生産・保全・削減・回復(produce, protect, reduce, restore)の4点にわたるアプローチを提案しました。具体的には、既存の農地における食料および木材生産性の向上、生物多様性の保全、生産過程において集約的な土地利用を要する商品の需要削減、森林やそのほか生物生息圏の保全回復、の必要性を訴えました。

 

(参考文献)
Tim Searchinger, Liqing Peng, Jessica Zionts and Richard Waite (2023) The Global Land Squeeze: Managing the Growing Competition for Land  https://www.wri.org/research/global-land-squeeze-managing-growing-compe…

 

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)


 

関連するページ