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831. 持続的な食料システム構築に向けたアクション
831. 持続的な食料システム構築に向けたアクション
2021年9月、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成のためには持続可能な食料システムへの転換が必要不可欠だという、グテーレス国連事務総長の考えに基づき、国連食料システムサミットが開催され、先週、そのフォローアップにあたる「国連食料システムサミット2年後会合(UNFSS+2)」が、イタリア・ローマの国連食糧農業機関(FAO)本部にて開催されました。
国連食料システムサミット2年後会合(UNFSS+2)ウェブサイト:https://www.unfoodsystemshub.org/fs-stocktaking-moment/en
プログラム:https://www.unfoodsystemshub.org/fs-stocktaking-moment/programme/en
7月24日、グテーレス国連事務総長は、世界の食料システムが破綻に直面していると訴えました。
具体的には、現在、世界で7.8億人以上の人々が飢えに直面し、生産される食料の3分の1近くが廃棄され、30億人近い人々が健康的な食生活を送れていません。とりわけ途上国は資源制約と債務負担に直面し、あらゆる社会階層に対し栄養に富む食の生産を可能とする食料システム構築のための投資を阻まれています。持続的でない食料生産、パッケージングや消費は、気候危機を増長し、食料システムは人為的な温室効果ガス排出の3分の1、かつ世界の淡水使用の70%を占め、同時に生物多様性喪失の最大の原因となっています。
国連事務総長はまた、ロシアによる黒海穀物イニシアチブからの離脱について言及、脆弱な社会層が最大の影響を被ることに懸念を示し、食料安全保障のためにウクライナ・ロシアからの滞りのない食糧輸出を可能とするよう、引き続き交渉を続けていくことを表明しました。
国連事務総長は、持続的な食料システム構築のために、①飢餓撲滅に向けた投資増強、②企業・政府間の協調推進、③食料生産による環境・気候への負の影響緩和、の3つの分野でのアクションを提案し、我々が食料を生産し消費する方法を根本的に見直す必要性を訴えました。最後の点について、国連事務総長は、温室効果ガス排出削減と温暖化を1.5℃に抑制する上で食料システムが果たす役割を鑑み、食品加工・パッケージング・輸送にかかるカーボン・フットプリントの削減を求めました。
第三点目については、食料生産・農業における非持続的な土地・水・そのほか資源利用を削減する技術の活用が決定的に重要となります。世界各地の食料生産・農業の在り方の多様性を鑑みて、各地のコンテクストのニーズや制約に合わせた科学技術イノベーションの推進が望まれます。
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)