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377. フードシステム転換:飢餓を撲滅し地球を保全するための7つのプライオリティ

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377. フードシステム転換:飢餓を撲滅し地球を保全するための7つのプライオリティ

今日、世界のフードシステムは様々な問題を抱えています。10人に一人が栄養失調を患う一方で4人に一人が過体重とされ、世界人口の3分の一が健康な食事にありつけていません。熱波・洪水・干ばつ・紛争といったショックはしばし食料供給を寸断・攪乱します。2019年から2020年の間、COVID-19パンデミックや紛争によって、飢えに苦しむ人々の数が15%増加しました。

同様に、フードシステムは地球にも多大な影響を与えています。食料部門は世界の温室効果ガス排出の30%に責任があるとされ、耕地・放牧地・植林の拡大は主に熱帯地域における森林破壊の原因のうち3分の2を占めるとされます。不適切な農業慣行は、土壌を劣化し、環境を汚染し、水を枯渇させ、生物多様性の喪失をもたらしています。

フードシステムが人類の健康と地球の環境に影響を及ぼしていることは明白です。これを受け、生産・消費・バリューチェーンを個別に取り扱うアプローチから、フードシステムの安全性・ネットワーク・複雑さそのものを取り上げるアプローチにシフトしています。とりわけCOVID-19 がフードシステムの抱える課題をあぶりだしたこともあり、政策関係者も問題の深刻さに気付きつつあります。

2021年9月23日に国連食料システムサミット(UNFSS)の開催が予定されています。それに先立つ8月30日、Nature誌にて、国連食料システムサミット・科学者グループ議長を務めるvon Braun教授らが論考を寄せ、持続的で公正かつ強靭なフードシステム構築へ向けた7つのプライオリティを提案しました。以下、紹介いたします。

 

  • 飢餓の撲滅と食生活の改善:End hunger and improve diets. 持続的な農業生産性向上のためのR&D、食料廃棄物・ロスの削減、社会保護プログラムにおける所得・栄養の配慮、など。 
  • フードシステムからのリスク排除:De-risk food systems. モニタリング、早期警戒システム、予測や保険システムの構築など。
  • 平等と人権の保護:Protect equality and rights. 小規模農家・女性など脆弱な社会層の権利の保護・保障。
  • バイオサイエンスの振興:Boost bioscience. 土壌改良、作物栽培、育種、土壌や生物圏における炭素貯留等の効率化、生産性・質向上や病害虫抵抗性品種開発加速のための遺伝子工学、バイオテクノロジー応用のための知財・スキル・データ共有課題への対応、など。
  • 資源保全:Protect resources. 土壌・水資源等の持続的保全のためのデジタルツールやリモートセンシング・AI・ドローン等の活用。生物多様性や遺伝資源保全を通じた気候変動対応や栄養向上に貢献する形質・遺伝子多様性活用の加速化など。
  • 水産資源の持続的維持:Sustain aquatic foods. 栄養・環境面での水産資源の活用など。
  • デジタル技術の推進:Harness digital technology. 生産・食の安全等の分野でのロボット・センサー・AIの活用、利益の広域な分配のための配慮など。


参考文献
Joachim von Braun, Kaosar Afsana, Louise O. Fresco & Mohamed Hassan, Food systems: seven priorities to end hunger and protect the planet. Here’s how the United Nations should harness science and technology to improve nutrition. COMMENT 30 August 2021 Nature 597, 28-30 doi: https://doi.org/10.1038/d41586-021-02331-x

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)