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360. グローバル・コモンズ保全の必要性に関する世論調査

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360. グローバル・コモンズ保全の必要性に関する世論調査


コモンズ(commons)とは、草原、森林、牧草地、漁場などの資源の共同利用地を指します。近年、人為的な経済活動が地球規模の気候変動や環境破壊など不可逆的な危機をもたらす中、グローバル・コモンズ(global commons)の持続可能な利用・管理・維持するためのルール・合意形成の必要性が認識されています。

2021年8月、グローバル・コモンズ・アライアンス(The Global Commons Alliance)は、英国の市場調査会社であるIpsos MORIと共同で、G20諸国におけるグローバル・コモンズの現状認識についての世論調査の結果を公表しました。報告書のサマリーより、興味深い結果をいくつか紹介します。

  • G20諸国の国民の73%が、人為的な活動のせいで、地球が次第に不可逆性を伴うような大規模な変化を伴う転換点(tipping point-注:温室効果ガスなどの変化が少しずつ蓄積していった結果、ある時点を境に劇的な変化を起こす現象)に達しつつあると考えています(日本、63%)。
  • 58%の人々がグローバル・コモンズの現状を懸念しています(日本、44%)。
  • 83%の人々が地球のよりよい管財人となってグローバル・コモンズの保全と再生に尽くす意思があります。途上国の人々の方がその意思が高い傾向があり、その割合は、インドネシア(95%)・南アフリカ(94%)・中国(93%)に対し、日本(61%)・ドイツ(70%)・米国(74%)でした。
  • 73%の人々は、経済は、利益や成長を超えて人類の福祉と生態系の保全・再生にも配慮すべきだと考えていました。(日本、61%)
  • 69%の人々はグローバル・コモンズの保護の利益がコストを上回ると考えました。(日本、53%)
  • 59%の人々は、次の10年間におけるクリーンエネルギーへの急激な移行を承認しました。
  • しかし、次の10年間により広範囲な経済変革の必要性を認めたのは8%の人々に過ぎませんでした。
  • 71%の人々はパンデミックからの回復は将来のショックに強靭な社会を構築するチャンスをもたらしていることに合意しました。

報告書は、これらの結果は、政治的指導者にとっても、グローバル・コモンズ保全のためのアクションの必要性を再確認させたのではないか、と結論づけています。報告書では全質問項目に対する国ごとの数値が全部示されているわけではありませんが、言及された項目に関しては、日本の世論のグローバル・コモンズに関する認識・意識は他のG20 諸国よりも低めのようでした。地球規模課題への対応には、各国がアクションを起こす必要がありますが、そのための世論形成にメディア・情報の果たす役割は非常に大きいと考えます。

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

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