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293. JIRCAS-FFTC国際イネいもち病ワークショップのプロシーディング公表

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いもち病害は、熱帯から温帯までイネが栽培されるすべての地域で発生し、最も被害が大きい重要病害の一つです。1970年以降、近代改良品種が普及し、単一品種が広い面積で連続して栽培されるようになると、より顕著にいもち病害が報告されるようになりました。いもち病害は、毎年イネ生産の1%に影響をあたえ、その被害額は毎年20億米ドルにも及ぶと推定されています。長年多くの研究が行われてきましたが、最近では分子生物学的アプローチによりいもち病菌レースの病原性やイネ品種の抵抗性発現のメカニズムも明らかになってきています。しかしながら、開発途上地域等で貧困な農家が利用できる防除技術の開発には至っていません。そこで国際農研は2006年より、フィリピンの国際稲研究所(IRRI)などと協力し、イネいもち病を克服するための国際的なネットワーク研究を開始し、研究成果が現場の防除技術に利用できるような取り組みを行ってきました。 

このネットワーク研究では、いもち病菌レースやイネ品種の抵抗性を評価する判別システムの開発・普及・活用を目指してきました。その結果として、いもち病菌レースの分布やイネ抵抗性の遺伝的変異の解明研究や圃場抵抗性遺伝子を用いた品種改良が取り組まれています。これらの成果に加えて、他のアジア地域におけるいもち病研究の問題と現状について、情報交換と今後のいもち病研究の方向性を論議するため、2020年9月18日、国際農林水産業研究センター(国際農研:JIRCAS)と台湾にあるアジア太平洋食糧肥料技術センター(FFTC)は、「JIRCAS-FFTC国際イネいもち病ワークショップ」を共同開催しました。コロナ禍のためオンライン開催となりましたが、日本、台湾、タイ、ベトナム、韓国、インドネシア、フィリピン、バングラデシュ、マレーシア、インドなどからの116名の参加者がありました。

このたび、ワークショップにおける発表を論文集にまとめたプロシーディングが公表されました。FFTCのサイトに登録することでダウンロードすることができます
本プロシーディングは、ワークショップで議論された、安定的な防除技術開発の方向性についての情報・手法に関する研究情報がとりまとめられています。
 

ダウンロードサイト:https://www.fftc.org.tw/en/publications/main/2301?fbclid=IwAR0y7lDcdAMR…

(文責:研究基盤室 福田善通)

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