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267. より良い生活のためのデータ

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今日、様々なデータ情報が私たちの日々の生活に浸透しています。集められたデータは、当初の予想をはるかに超えた経済的・社会的価値を生み出す可能性を秘めている一方で、誤った利用による信頼の欠如など、多くの障壁も立ちはだかっています。

最近公表された世界銀行の『世界開発報告2021(World Development Report 2021)』は、データがすべての人々、特に低・中所得国の貧しい人々の生活にどのように役立つか(Data for Better Lives)について記しています。本報告書では、このようなデータの有用性と有害性に対処するために、データへの公平なアクセスを確保し悪用されないようなデータガバナンスを求めています。さらに、高品質なデータを作成し、安全な使用と再利用を促進する方法でデータにアクセスできる統合された国家データシステムのビジョンを提案しています。

農業分野においても、持続可能な開発目標の実現に向けた公平な効率的で農業・食料システムを構築することが期待されています。世銀は、著書『What's Cooking: Digital Transformation of the Agrifood System』の中で、デジタル技術がどのように農業システムの変革を促進できるかについて、農場での効率性の向上、生産物・投入物・金融市場への農家のアクセス改善、品質管理とトレーサビリティの強化、農業政策の設計と実施の改善などを調査しています。また、オープンデータ、デジタルプラットフォーム、デジタル起業、デジタル決済システム、デジタルスキルなどを備えたイノベーションエコシステムを実現し、公平な技術導入を促進することで、メリットを最大化しリスクを最小化するために、公的機関が果たすべき役割を明らかにしています。

国際農研は2021年4月1日から新たに第5期中長期計画を開始しました。国際農研の持つセンター機能をさらに強化し、複雑化・多様化する開発途上地域・熱帯亜熱帯地域の農林水産業と地球規模の食料システムに係る課題や開発ニーズに関する情報を多角的に収集・分析し、地球環境や食料問題に関するオピニオンリーダーとして、国内外に広く情報を発信していきます。ご期待下さい。

 

(参考)

World Development Report 2021: Data for Better Lives (worldbank.org) https://wdr2021.worldbank.org/

What's Cooking: Digital Transformation of the Agrifood System https://openknowledge.worldbank.org/handle/10986/35216

(文責 情報広報室 金森紀仁)

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