JIRCAS特別セミナー「栄養強化作物の開発」を開催しました

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平成29年11月1日にHarvestPlusの創設責任者のDr. Bouis氏らを招いて、栄養強化作物の開発に関わるセミナーを開催しました。

11月1日の13:15から15:00まで、JIRCASの国際会議室において、「栄養強化作物の開発」と題するセミナーを開催いたしました。講演者は、CGIAR(国際農業研究協議グループ)の研究プログラム「HarvestPlus」の創設責任者のDr. Bouis氏、JIRCAS中島農産物安定生産プログラムディレクター、生産環境・畜産領域Dr. Wissuwaらで、さらに、コメンテーターとしてCIAT(国際熱帯農業研究センター)のDr. Lung'aho氏、マダガスカル栄養改善研究プラットフォームのDr. Rasoarahona氏にお話をいただきました。

Dr. Bouis氏は、食料価格が上昇した場合、野菜や肉類など他の農産物の消費が減って栄養のバランスが悪くなること、高収量品種の重量当たり亜鉛含量が少ないこと、鉄や亜鉛を多く含むイネの品種の開発がIRRI(国際稲研究所)などで進められていることなどを報告しました。また、中島プログラムディレクターは、農産物安定生産プログラムで開発したササゲ遺伝資源の亜鉛と鉄の含有量のデータベース、ヤムの全ゲノム解析の結果などについて紹介しました。さらに、Dr. Wissuwaは、亜鉛欠乏に強い耐性を持つイネの遺伝子型が存在すること、余分に吸収された亜鉛が穀粒ではなく稲わらに蓄積されることなどを報告しました。

各報告の内容は密度の高いものでしたが、さらにコメンテーターのお二方から、CGIAR各機関やマダガスカルでの栄養改善の取り組みについて情報を提供していただきました。つづく質疑では、所得分布と栄養摂取量の関係、栄養素の錠剤での供給と作物からの供給の費用の違いなどについて議論したところです。このセミナーにおいて栄養不足の現状、栄養強化作物開発の重要性、そして開発上の困難な点について認識を新たにすると共に情報の共有を図ることができました。

写真1 国際会議室におけるBouis氏の発表

写真2 セミナー後のフリーディスカッション

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