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257. 国際森林デー(International Day of Forests)

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3月21日は国際森林デーです。国連はこれまでに1985年と2011年を「国際森林年」と定めて、世界的な森林の減少・劣化への対応や森林を持続可能な形での管理のために様々な活動をしてきました。2回目の国際森林年の翌年2012年には、毎年3月21日を世界で森林や樹木に対する意識を高める記念日として国際森林デーを定めました。2021年のテーマは「森林の回復:復元と幸福に向けて(Forest restoration: a path to recovery and well-being)」です。

気候変動対策へ向け、世界は脱炭素化 ―カーボン・ニュートラル― のための具体的な対策を模索していますが、その際、温室効果ガス排出の削減だけでなく、海洋・土壌・森林による炭素の吸収・貯留が重要となります。開発途上国では、主に農業開発を目的とした土地利用変化のため、森林破壊・その他攪乱要因が炭素排出源になっている中、炭素の吸収・貯留における森林回復のための森林管理の役割は非常に大きいといえます。 

国際農研は、東南アジアの有用樹種を高付加価値化する熱帯林育成・保全技術開発(価値化林業)に取り組んでいます。東南アジアの有用樹種生産の適地拡大と高付加価値化を図る人工林育成技術、適切な資源管理のための人工林のモニタリング技術、そして遺伝資源の高度利用により同じ樹種でもより高い価値を生む系統を選抜する技術を開発し、普及をめざしています。

熱帯林は有用な木材樹種の宝庫ですが、その複雑な生態系を理解したうえで林業を行わなければ、森林の復元力と健康を維持しつつ優良な木材を生産し続けることはできません。熱帯地域の森林管理や林業に貢献するため、国際農研は1991年以来、マレーシア森林研究所(FRIM)と共同研究を実施しています。

(参考)
International Day of Forests(国連)
https://www.un.org/en/observances/forests-and-trees-day
「マレーシアのフタバガキ林の生態と造林」
https://www.jircas.go.jp/ja/program/program_c/20160826
マレーシア半島部の丘陵フタバガキ林に焦点を当て、特に重要な商業木材樹種であるShorea curtisiiを中心に、東南アジアの熱帯雨林に優占するフタバガキ科樹木の分布と生態、森林更新、成長と収穫に関する9編の論文を掲載しています。国際農研とFRIMとの長期にわたる協力で蓄積された森林生態系への観察と洞察が結実したこれらの新たな知見は、熱帯地域におけるより良い木材生産と森林管理に大きく貢献するものです。

(文責 金森紀仁)
 

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