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1523. 世界の水産・養殖生産が過去最高を更新:食料安全保障を支える「ブルートランスフォーメーション」

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1523. 世界の水産・養殖生産が過去最高を更新:食料安全保障を支える「ブルートランスフォーメーション」


FAO(国連食糧農業機関)は2026年6月、報告書「The State of World Fisheries and Aquaculture 2026」を公表しました。本報告書は、世界の漁業・養殖業の現状と将来展望を整理するとともに、持続可能な水産食料システムへの転換に向けた取組の方向性を示したものです。

FAOの報告によれば、2024年の世界の水産・養殖生産量は過去最高の2億3,500万トンに達しました。このうち水産動物の生産量は約1億9,500万トンであり、1950年以降、年平均3.2%で増加を続けています。FAOは、世界人口の増加が続く中で、水産物が重要な食料供給源としての役割を拡大していることを指摘しています。

特に養殖業の成長が顕著です。FAOによれば、2024年の養殖生産量による水産動物生産量は約1億300万トンとなり、水産動物生産全体の53%を占めました。養殖業は2021年に初めて天然漁獲量を上回り、その後も拡大を続けています。また、現在の養殖生産の約9割がアジアに集中している一方で、FAOはアフリカなど他地域にも大きな発展可能性があるとしています。

水産物は栄養面でも重要な役割を果たしています。FAOの報告では、2024年には水産動物生産量の89%が人の食用に供給され、一人当たり供給量は年間21.3kgに達したとされています。また、2023年時点で、世界人口の40%以上が動物性タンパク質摂取量の20%以上を水産物に依存しているとされています。特に低所得国において、水産物は比較的入手しやすい良質なタンパク質源として重要とされています。一方で、その供給には地域差があり、アジアでは一人当たり年間26.3kgであるのに対し、アフリカでは9.1kgにとどまると報告されています。

海洋漁業資源の持続性については課題も示されています。FAOによれば、2023年時点で生物学的に持続可能な水準で利用されている海洋魚類資源の割合は62.4%でした。ただし、漁獲量ベースでは72.6%が持続可能な資源に由来しており、大規模資源を中心に管理の改善が進んでいることを示唆しています。

さらに、報告書では気候変動や環境劣化の影響にも言及しています。特に内水面漁業について、土地利用の変化、水資源の利用状況、水質汚染、気候変動などの要因が資源の状態に大きく影響するとされており、持続的利用のために流域全体を視野に入れた統合的な管理が重要であると指摘されています。

FAOは今後の方向性として、「Blue Transformation」を提唱しています。これは、持続可能な養殖業の拡大、科学的根拠に基づく漁業管理の強化、効率的かつ包摂的なバリューチェーンの構築を通じて、水産食料システムを食料安全保障の確保、栄養改善、持続可能な生計向上に一層貢献するものへと転換することを目指す取組です。

 

(参考文献)
FAO. 2026. In Brief to The State of World Fisheries and Aquaculture 2026 – Blue Transformation: turning vision into impact. Rome. https://doi.org/10.4060/cd9841en

(文責:戦略統括室 飯山みゆき)

 

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