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1093. 2024-34年の世界食料安全保障見通し

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1093. 2024-34年の世界食料安全保障見通し

アメリカ合衆国農務省(USDA)は、マクロ経済モデル・83か国の低中所得国の需要予測にもとづき、2024-34年の世界食料安全保障見通しを発表しました。

2023年に比べ、2024年の食料安全保障を取り巻く情勢は、平均で3.4%の一人当たりGDP成長率の伸び、および植物油や小麦・ソルガム・トウモロコシを含む多くの商品作物の国際・国内食料価格が落ち着きを取り戻したことにより、改善する見通しです。

ただし、商品作物価格の高騰や輸送地域における紛争のサプライチェーンの影響が、食料安全保障に影を落としています。2024年、分析対象となった83か国において19%相当の8.246億人の人々が健康な生活習慣を送るために必要とされる一日当たり2100キロカロリーを摂取できていないと推計されました。2023年水準から27.5%低い値と改善傾向を示しましたが、シリア・イラン・ラオス・エジプト・ガンビア・モルドバ・リベリア・バングラデッシュ・ハイチの9か国では消費者物価指数のインフレにより食料安全保障を取り巻く状況は悪化し、南アジア・西アジアの国々ではコメ価格の上昇が響きました。

短期的な懸念材料はあるものの、旧ソ連諸国や南・東南アジア地域での一人当たりGDP改善により、2034年までに食料安全保障は改善し、83か国対象国における食料安全保障の危機に直面する人々は人口の5.5%に相当する2.74億人と予想されています。

一方、83対象国平均で、次の10年間に穀物需要は年率2.4%増加する見込みで、その要因はアジアでは所得成長であるのに対し、サブサハラアフリカでは人口増と推計されています。一方で、穀物生産は2034年まで年率1.7%でしか伸びないため、アジア・サブサハラアフリカにおける食料・飼料不足が予想されています。

とくにサブサハラアフリカでは、食料需要は2024年の1.69億トンから2034年に2.47億トンへと次の10年間、年率3.9%で伸びることが推計され、その成長の66%が人口増によるもの予測されています。

 

(参考文献)
Cardell, L., Zereyesus, Y. A., Ajewole, K., Farris, J., Johnson, M. E., Lin, J., Valdes, C., & Zeng, 
W. (2024). International food security assessment, 2024–34 (GFA-35). U.S. Department of
Agriculture, Economic Research Service. https://www.ers.usda.gov/webdocs/outlooks/109853/gfa-35.pdf?v=1468.2


(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

 

 

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