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1221. 最近の世界食料安全保障事情

1221. 最近の世界食料安全保障事情
世界銀行のブログによる食料安全保障最新事情を紹介します。
紛争や天候不順はさまざまな国で食料不安を引き起こし続けています。スーダンの紛争によって引き起こされた大規模な難民、経済の崩壊、基本的な社会サービスの崩壊、深刻な社会的混乱、人道支援の制限により、前例のない食料と栄養の危機が引き続き発生しており、約2,500万人(人口の半分)が深刻な食料不安に直面し、飢餓状態に陥っています。
多くの低所得国では、国内の食品価格インフレが依然として高止まりしています。食品価格インフレデータが入手可能な2024年11月から2025年2月までの最新月の情報によると、5%を超えるインフレが、低所得国の78.9%(2025年2月14日の前回更新時から5.2%上昇)、下位中所得国の50%(2.2%低下)、上位中所得国の34%(2.0%低下)、高所得国の10.9%(4.8%低下)で発生しています。実質ベースでは、データが入手可能な168か国のうち56%で、食品価格インフレが全体のインフレを上回りました。
AMIS Market Monitor 2025年3月版によると、世界のほとんどの地域で作物の状態は概ね良好ですが、一部の地域では懸念があり、特に南米のトウモロコシに関しては平均以上の気温が予測されており、作物の生殖発達中に熱ストレスのリスクが高まっています。トウモロコシの価格はすでに予想から大幅に上昇しており、2025年2月の価格は2024年2月より約25%高くなりました。小麦の生産は2025年に緩やかに増加すると予測されており、国際貿易関係に関する不確実性が市場の動向に影響を及ぼす可能性があります。米の価格は、生産地域の拡大や好天などの要因の組み合わせを反映して、2年ぶりの安値に達しています。
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)