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761. 最近の食料価格事情

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761. 最近の食料価格事情

4月14日、国連食糧農業機関(FAO)の情報によると、2023年3月、全ての主要な穀物の国際価格は下落しました。小麦に関しては大量の供給見通し・輸出国間の競争・黒海穀物イニシアチブ延長、メイズについては南米での収穫タイミング・ブラジルでの史上最高水準の産出高見込み・アルゼンチンの通貨安、コメについては主要なアジア輸出国における収穫および収穫見通し、など、それぞれが複合的な要因を反映しました。

一方、FAOの分析によると、主食作物の国内価格は、多くの国で多少下落したものの、いまだに高い水準を維持しており、武力衝突や気候ショックに襲われた中南米・アジア・アフリカ諸国では価格上昇が続いています。また多くの国では通貨価値の下落と輸送コスト高によって、国内で生産される食料および輸入食料の価格が高止まりしていると伝えられています。

 

なお、3月18日に延長合意となった黒海穀物イニシアチブですが、今回は60日間のみ有効とされ、期限までもうひと月を切ったところ、ロシアが延長を拒否していると伝えられています。黒海経由のウクライナ産穀物の輸出が滞る中、陸路経由地となったポーランドやハンガリーで穀物供給の増加ゆえに価格が下落し、農家を守るためにウクライナ産小麦の輸入および経由の禁止措置が発出されたとも報道されています。国際紛争による食料サプライチェーンの寸断は、輸出・輸入国のみならず、経由国にも波及し、問題解決に向けた状況をめぐる不確実性が高まっています。

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

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