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1501. 生物多様性保全、「地域の行動」が地球規模の未来を左右
1501. 生物多様性保全、「地域の行動」が地球規模の未来を左右
私たち人類は、水、食料、医薬品、衣類、燃料、住居、エネルギーなど、生活を支える多くの資源を健全な生態系に依存しています。技術が進歩した現代においても、生物多様性に支えられた自然環境なしに社会は成り立ちません。そのため、自然との関係を見直し、生物多様性を「尊重し、守り、回復する」ことが国際的な課題となっています。
2022年12月には、生物多様性損失を止め、回復へと転換するための国際的な枠組みである「昆明・モントリオール生物多様性枠組(Kunming-Montreal Global Biodiversity Framework)」が採択されました。この枠組みでは、2050年までの4つの長期目標と、2030年までに達成すべき23の行動目標が設定されています。主な目標として、劣化した生態系の30%の回復、陸域・海域の少なくとも30%の保全、侵略的外来種の導入・定着の半減、生物多様性保全のための年間2,000億米ドル規模の資金動員などが掲げられています。
また、国連が定める2026年の「国際生物多様性の日」では、“Acting locally for global impact(地域からの行動で地球規模のインパクトを)”がテーマとされています。
国連の報告等によれば、地球上には約800万種の生物が存在すると推定されており、そのうち、約100万種が絶滅の危機に直面しているとされています。一方で、森林再生や湿地保全などの取り組みによって、生息地が回復し、絶滅の危機から回復しつつある種も報告されています。
生物多様性は、単に生物種の多様性にとどまらず、作物や家畜の遺伝的多様性、生態系の多様性、さらには人間と自然との相互作用も含む概念です。例えば、世界人口の相当数(約30億人)は魚を主要なたんぱく源としており、人類の食料の多くは植物に由来しています。また、開発途上国の農村部では、伝統的な植物由来の医薬資源に依存する人々も多く存在します。
さらに、生物多様性の損失は人間の健康にも影響を及ぼします。野生動物由来感染症(人獣共通感染症)の拡大リスクとの関連が指摘されており、生物多様性が維持された健全な生態系は、感染症リスクの低減にも寄与する可能性があるとされています。
国連は、生物多様性を将来世代にとって極めて重要な「地球規模の資産」と位置づけ、普及啓発の一環として毎年「国際生物多様性の日」を実施しています。以上を踏まえると、地域レベルでの一つひとつの取り組みが、地球全体の生物多様性の保全につながると考えられます。
(参考)
United Nations – International Day for Biological Diversity 2026 “Acting locally for global impact” https://www.un.org/en/observances/biological-diversity-day
(文責:戦略統括室 飯山みゆき)