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1490. 世界商品市場動向

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1490. 世界商品市場動向

 

世界銀行グループが2026年4月末に公表した Commodity Markets Outlook は、中東での戦争が世界の商品市場に前例のない供給ショックを与えていると指摘しています。エネルギーインフラへの攻撃やホルムズ海峡を通過する海上輸送の大幅な停滞により、原油や天然ガス、肥料、金属など幅広い商品で供給制約が生じています。

ホルムズ海峡は、紛争前には世界の海上原油貿易の約35%、LNGの約20%が通過する重要なルートでした。2026年3月には、世界の原油供給が日量約1,000万バレル減少したと推定され、これは過去最大規模の供給途絶です。ブレント原油価格は一時1バレル120ドル近くまで急騰し、その後も年初を大きく上回る水準で推移しています。LNG供給の減少を受け、アジアや欧州では天然ガス価格も急上昇しました。

こうした状況を背景に、世界銀行は2026年の世界の商品価格が前年比16%上昇すると予測しています。とくにエネルギー価格は24%上昇し、ブレント原油は平均で86ドルに達する見通しです。肥料市場への影響も大きく、湾岸地域が主要供給地である尿素を中心に、肥料価格は31%上昇すると見込まれています。食料価格全体の上昇は限定的とされるものの、肥料価格の急騰により、農家の負担は2022年以来で最も重くなるとされています。

金属市場でも供給制約と需要増が重なり、アルミニウムなどのベースメタル価格は過去最高水準が見込まれています。貴金属も地政学的な不確実性を背景に、高い価格と大きな変動が続いています。

商品価格の上昇は、途上国のインフレを再加速させ、経済成長を下押しする要因となります。世界銀行は、紛争が長期化すれば、最大4,500万人が新たに深刻な食料不安に陥る可能性があると警告しています。報告書は、各国政府に対し、広範で一律の支援策ではなく、最も脆弱な人々に絞った一時的な支援を行う重要性を強調しています。

 

(参考文献)
World Bank. 2026. Commodity Markets Outlook, April 2026. https://openknowledge.worldbank.org/bitstreams/497b52a8-8294-4d4d-8c5f-…


(文責:戦略統括室 飯山みゆき)

 

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