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1443. ウクライナ侵攻の食料安全保障への影響を振り返る

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1443. ウクライナ侵攻の食料安全保障への影響を振り返る

 

4年前の2022年2月24日、ロシアのウクライナ侵攻は、既にCOVID-19パンデミックでサプライチェーン寸断に直面していた世界に新たな地政学的ショックを加え、食料安全保障を取り巻く情勢の不確実性を一気に増しました。現在、食料価格は2022年3月に最高値を記録した当時に比べて落ち着いていますが、ショック要因について常に目配りする必要があります。本日は、過去3年間の2月24日付ブログを振り返り、ウクライナ侵攻のショックが食料安全保障にもたらした影響を振り返ります。

 


724. ロシアのウクライナ侵攻から1年(2023年2月24日)

ロシアとウクライナは、小麦という重要な主食作物の世界有数の生産・輸出国ですが、同時に、メイズやヒマワリといった飼料・油脂作物の主要生産・輸出国でもあり、さらにロシアは肥料の重要な輸出国でもあります。ロシアのウクライナ侵攻は、サプライチェーン寸断の懸念をもたらし、食料・燃料・肥料価格は高騰しました。その後、国際的な食料価格は落ち着いてきたものの、飼料・油脂作物および肥料などの投入財価格が高水準で推移していることで、生産者の経営を圧迫し、加工品価格の値上げに踏み切る食品企業も多く、世界各地でコストプッシュ型の食料インフレが続いています。

食料危機というと、小麦・コメ・トウモロコシなど主食になる作物が足りなくなる、あるいはアクセスができなくなる状況がイメージされやすいかと思います。他方、今日、世界で生産される作物は、直接、人間に食料として消費されるものばかりでなく、家畜の飼料や加工・工業用にも生産されており、そうした財のサプライチェーンの攪乱が、食料危機に波及することもあります。

地域別にみると、南米北米やオーストラリア、また欧州は加工・飼料生産に特化しています。対照的に、人口増と経済成長の速いアフリカやアジアの新興国においては、食料需要が大きく伸びる一方、こうした地域の多くの国々で、生産性は低迷し、増える人口に十分な食料を供給することに苦労しています。

世界の食料安全保障には、地政学的なサプライチェーン寸断を回避する国際協調努力が必要です。それとともに、世界の作物生産における栽培面積・収量向上で食料作物生産の相対的なパフォーマンスに課題がある中、食料作物生産性の停滞している途上国地域において、持続的な生産性向上のための技術支援が極めて重要な意義を持っています。



963. ロシアによるウクライナ侵攻以来の食料システムリスク(2024年2月22日)

2022年2月24日にロシアがウクライナ侵攻して以来、2年が経とうとしています。2022年の記録的な世界食料価格の高騰は、食料生産が燃料・肥料のグローバルな供給に依存しており、地政学的紛争によるサプライチェーンの寸断が、食料安全保障リスクに直結することを国際社会が再認識するきっかけとなりました。

2022年7月に国連とトルコの仲介による黒海穀物合意後、世界食料価格は落ち着きを取り戻してはいますが、時間差で世界各国の食料価格インフレに反映されていき、とくに通貨価値下落局面にある食料輸入国の食料安全保障の脆弱性が高まっています。黒海穀物合意も2023年7月にロシアが離脱し、昨年10月以降は中東での紛争を発端とした紅海地域の情勢不安がサプライチェーン寸断の新たな火種となっています。

一方、地球システムの限界によるリスクも、食料価格動向に影響を及ぼすようになっています。2023年7月、国連事務総長が地球沸騰化時代の到来と表現しましたが、気候変動による異常気象は食料生産に直接的な影響をもたらすだけでなく、燃料・肥料に依存する食料システム自身も気候変動や生物多様性の喪失の原因となっています

食料安全保障にまつわる不確実性を取り除く国際協調と、強靭で持続的な食料システムを構築していくための科学技術イノベーションと行動変容による、全方位的な対策が求められています。

 

1202.過去3年の世界食料危機(2025年2月24日)

3年前の2022年2月24日、ロシアによるウクライナに侵攻を機に、主要食料輸出国を巻き込んだ地政学的リスクは、世界食料安全保障を脅かしました。

ロシアのウクライナ侵攻により、主要な穀物輸出国であるウクライナの輸出は劇的に減少しました。戦争によるウクライナの穀物輸出への影響は、戦前の播種と2022年に蓄積された大量の在庫によって緩和されましたが、生産施設の損失または損傷、および未作付地域により、将来の輸出は深刻な影響を受けることが懸念されています。

 


(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

 

 

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