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1411. 2025年の異常気象

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1411. 2025年の異常気象

 

2025年末、極端現象と気候変動の因果関係を分析するWorld Weather Attribution (WWA)チームによって公表された報告書は、2025年を振り返り、温暖化が進む世界において、異常気象が多くの命を奪い、地域社会を破壊し、農業生産に壊滅的な影響をもたらすリスクの深刻化について警鐘を鳴らしました。その内容を紹介します。

2025年は、エルニーニョ現象などの自然現象により気候は前年に比べ寒冷な段階にあったものの、人為的な温室効果ガス排出は、地球の気温を上昇させ、長期にわたる熱波を激化させ、干ばつや火災発生の悪化を招き、嵐や洪水に伴う極端な降雨量と強風を増大させ、数千人の死者と数百万人の避難民をもたらしました。2025年の出来事は、人為的な温暖化が約1.3℃上昇した段階でも異常気象のリスクが増大することを示しており、化石燃料からの転換を加速させる緊急の必要性を改めて浮き彫りにしています。

パリ協定が締結された2015年以降、地球温暖化は0.3℃上昇しました。これは一見小さな上昇に見えますが、既に猛暑の頻度は大幅に増加しており、年間平均で11日もの猛暑日が追加されています。そして、さらなる温暖化により、この頻度は劇的に増加すると予測されています。各国の気候変動緩和政策が完全に実施されれば、気温上昇を4℃から2.6℃に引き下げることが見込まれますが、それでもなお危険なほど暑い世界が予測されています。WWAチームがアマゾンの猛暑やブルキナファソ、マリなどの最近の熱波のいくつかを再検証したところ、これらの現象は2015年以降、ほぼ10倍も発生確率が高くなっていることが分かり、1℃のわずかな差も大きな問題となることを浮き彫りにしました。

2025年の極端現象の影響は、地域特有の脆弱性によって引き起こされますが、世界中で同じパターンが見られました。例えば、南スーダンのケースの分析では、女性は農業や露店販売といった暑熱にさらされるインフォーマル部門の労働に集中していることに加え、限られた資源と低い識字率のために、猛暑の影響を不釣り合いに受けていることを示しました。世界的に女性は危険なほど高い気温への曝露とそれに伴う長期的な健康リスクを増加させる社会経済的状況に置かれ、不平等な負担を負っています。2025年は、人為的な気候変動の影響がいかに不公平で、社会の中で既に疎外されている人々が常に最も大きな打撃を受けているかを、改めて浮き彫りにしました。
また、2025年に実施した研究は、南半球における豪雨現象を対象にしたものも多くありましたが、観測データの欠落、および主に北半球向けに開発された気候モデルへの依存により、確信を持った結論を導き出せないことも多々ありました。グローバルサウスにおける気候研究基盤の脆弱さは、気候危機の不正義を反映しています。

2025年の出来事は、適応策への投資が不可欠であることを明確に示しています。多くの死者やその他の影響は、タイムリーな行動によって防ぐことができたはずです。しかし、ハリケーン・メリッサのような事象は、備えと適応の限界を浮き彫りにしています。カリブ海諸国のような小さな島々を激しい嵐が襲った場合、たとえ比較的高いレベルの備えがあっても、甚大な損失と被害を防ぐことはできません。このことは、気候変動による最悪の影響を回避するためには、迅速な排出量削減が依然として不可欠であることを示しています。


(参考文献)  
Otto, F. et al., (2025): Unequal evidence and impacts, limits to adaptation: Extreme Weather in 2025 (WWA scientific report No. 79) World Weather Attribution DOI: https://doi.org/10.25560/126543

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

 

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