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1364. 2025年世界多次元貧困指数 - 重なり合う苦難:貧困と気候災害

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1364. 2025年世界多次元貧困指数 - 重なり合う苦難:貧困と気候災害

 

気候危機は世界の貧困を根本的に変えつつあります。これまで以上に多くの人々が貧困のリスクにさらされ、そこから抜け出す可能性は低くなっています。不平等は悪化し、持続可能な開発の見通しは後退しています。

2025年版世界多次元貧困指数(MPI)報告書は、気候災害と多次元貧困に関するデータを重ね合わせ、貧困層が環境ショックにどの程度さらされているかを評価しました。

2022年だけでも、気候関連災害により約3,200万人が家や地域社会を追われました。 かつては主に独立した社会経済的懸念事項と見なされていた貧困は、今や地球規模の圧力と密接に結びついています。気候変動の影響を軽減するための積極的な取り組みがなければ、極度の経済的貧困に陥っている人々の数は2050年までにほぼ倍増する可能性があります。

貧困と気候変動によるショックは二重の負担を生み出します。貧困は気候災害への曝露を促進し、それが貧困を悪化させ、長期化させます。この相互関連性は、人新世(アントロポセン)の特徴です。人類新世とは、人間の活動が地球のシステムを根本的に変え、環境問題と社会問題は共に解決するしかない時代です。

貧困層のほとんどが少なくとも一つの気候災害にさらされており、特にサハラ以南のアフリカと南アジアでは、多くの人が同時に複数の災害に直面していることが明らかになりました。気候リスクと貧困リスクの絡み合いは、今後さらに深刻化する可能性が高い。今世紀末までに、最も大きな気温上昇を経験すると予想される国々は、既に多次元貧困レベルが高い国々です。

報告書は、悪化の一途をたどる可能性のある二重の負担に対処する必要性を強く訴えました。

 

(参考文献)
UNDP. 2025 Global Multidimensional Poverty Index (MPI): Overlapping Hardships: Poverty and Climate Hazards. New York.
https://hdr.undp.org/content/2025-global-multidimensional-poverty-index…


(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

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