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1347. JIRCAS国際シンポジウム2025

1347. JIRCAS国際シンポジウム2025
2021年9月に国連事務総長主導により国連食料システムサミット(UNFSS)が開催され、貧困の撲滅、飢餓の撲滅、不平等の削減、気候変動対策、及び生物多様性の保全に向けた国際的な取り組みの中心に食料が据えられました。この画期的なサミットに先立つ2021年5月、日本は食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現する「みどりの食料システム戦略」を策定しました。
相前後して、国際社会は食料システムをめぐる著しい変化と不確実性を目の当たりにしてきました。多くの国が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックからの回復に苦慮する中、一連の地政学的事象が食料安全保障への懸念を高め、2022年には、ウクライナ侵攻の影響で、燃料、肥料、及び食料価格が記録的な高値に達しました。同時に、地球の平均気温は上昇を続け、食料生産に悪影響を及ぼしています。 2024年は史上最も暑い暦年となり、平均気温がパリ協定で「産業革命以前に比べて世界の平均気温の上昇を1.5℃に抑える努力をする」とされた目標値である1.5℃を初めて一時的に上回ったことが確認されました。
このような状況を背景に、世界、地域、そして国レベルで食料システムの変革に向けた機運は一段と高まっています。具体的には、2023年12月の国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)では、「持続可能な農業、強靭な食料システム及び気候行動に関するエミレーツ宣言(首脳宣言)」が採択され、農業・食料セクターの持続可能な発展と、気候変動対策のための協調的な取り組みの強化が求められています。同様に、アジアモンスーン地域、特に東南アジアにおいては、2022年10月に生産性が高く、経済的に実行可能で、環境的に健全なASEAN農業への意向を目指す「ASEAN における持続可能な農業のための ASEAN 地域ガイドライン」が採択され、2023年10月には我が国において得られた新技術やイノベーションを活かした協力を盛り込んだ「日ASEANみどり協力プラン」が採択されました。また、COP30に先立ち、2025年5月には、日本政府が、日本の温室効果ガス排出削減技術の普及を促進し、グローバルサウスの農業・食品分野における脱炭素化投資を呼び込むことを目指す新たなイニシアティブとして「農林水産分野GHG排出削減技術海外展開パッケージ(通称:MIDORI∞INFINITY,ミドリ・インフィニティ)」を発表しました。
こうした中、国際農林水産業研究センターは、日本国内およびアジアモンスーン地域の多くの研究機関や国際機関等と協力し、アジアモンスーン地域における生産力の向上と持続性の両立に資する技術の実装の加速化を目指す、グリーンアジアプロジェクトを積極的に推進してきました。シンポジウムでは、2026年3月に終了するグリーンアジアプロジェクトを中心に、食料システムの変革におけるさまざまな活動について地球規模の視点から確認し、その成果を紹介するとともに、次のステップで取り組むべきニーズや他の地域・グローバルサウスに適用可能な教訓について議論します。
また、本シンポジウムでは、会場において技術カタログ掲載技術のパネル展示と技術の紹介を実施します。
JIRCAS国際シンポジウム2025:アジアモンスーン地域における農林水産業技術の実装加速化 ―生産力向上と持続可能な食料システム構築に向けた進展と展望―
1. 開催日時:2025年10月27日(月)13:30~17:15
2. 開催場所:一橋大学一橋講堂(東京都千代田区一ツ橋 2-1-2)
Zoomウェビナーを利用したオンライン視聴を併用
3. 主 催:国際農研
4. 使用言語:日本語・英語(同時通訳あり)
5. 参加費:無料(どなたでも参加できます)
6. 申込方法:国際農研のホームページからお申し込み下さい。
(締切:10月27日(月)12:00)
URL: https://www.jircas.go.jp/ja/symposium/2025/e20251027_jircas
* 会場参加者には講演要旨集を配布、質疑応答にも参加いただけます。
(文責:JIRCAS国際シンポジウム2025 実行委員会)