Pick Up

1262. グローバル食料危機

関連プログラム
情報

 

1262. グローバル食料危機

 

2025年食料危機グローバル報告書(The 2025 Global Report on Food Crises GRFC)によると、2024年に世界食料危機報告書の対象となった65カ国・地域のうち53カ国で、分析対象人口の22.6%にあたる2億9,530万人が深刻な食料不安に直面しました。これは6年連続の増加で、2023年の1年間における増加は1,370万人でした。ナイジェリア、スーダン、ミャンマーにおける紛争/情勢不安を主因として、19か国で急性食料不安が悪化しており、経済・気象条件の改善と人道支援によるアフガニスタン、ケニア、ウクライナを含む15か国における食料不安の改善を上回りました。

報告書はまた、2025年前半時点における、紛争と情勢不安の激化、地政学的緊張の高まり、世界経済の不確実性、そして大幅な資金削減が、すでに一部の国で深刻な食料不安を深刻化させていることにも指摘しています。2025年初頭、コンゴ民主共和国、ハイチ、スーダンでは紛争と情勢不安が深刻化しました。ガザ地区では3月初旬にすべての検問所が閉鎖され、2か月にわたる停戦が崩壊したことで、食料へのアクセスは厳しく制限されました。ミャンマーでは、地震救援活動のための停戦にもかかわらず、攻撃が続いています。南スーダンでは、政治的不安の高まりと衝突が、人口流出の波を引き起こしています。

既に低成長に苦しむ世界経済において、関税の引き上げと米ドル安は、世界の食料価格の上昇、サプライチェーンの混乱、そして食料へのアクセスと供給に影響を及ぼしかねません。不確実性の高まりによる通貨の変動は、特に低所得国において増大する債務返済負担をさらに圧迫し、輸入依存国における食料へのアクセスを低下させる可能性があります。

地球温暖化の傾向は今後も続くと予想され、資源をめぐる紛争の引き金となる、または悪化させる可能性のある極端な気象現象が激化するでしょう。 5月から7月にかけての降雨量が平年を下回る見込みの中、エチオピア、ケニア、ソマリアの一部地域、そしてアフガニスタンやパキスタンを含むアジアの一部地域で干ばつの状況が悪化すると予想されています。

2025年初頭以来、主要ドナーによる資金削減を受け、資金が突然打ち切られたことで、アフガニスタン、コンゴ民主共和国、エチオピア、ハイチ、南スーダン、スーダン、イエメンを含む地域での活動が中断しています。少なくとも1,400万人の子どもたちへの栄養サービスが危機に瀕しており、重度の急性栄養失調や死亡の危険にさらされています。人道支援食糧部門への資金は最大45%減少すると予測されており、深刻な食糧不安が深刻化する恐れがあります。海外開発援助の削減は、特に低所得国において、脆弱な人々を支援する政府の財政能力に影響を及ぼすだけでなく、脆弱な人々の食料安全保障と栄養状態に関するデータ収集にも影響が及ぶ懸念があります。


(参考文献)
FSIN and GNAFC. 2025. GRFC 2025. Rome. https://www.fsinplatform.org/grfc2025

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

 

 

関連するページ