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1034. 世界食品安全の日

1034. 世界食品安全の日
毎年6月7日は国際連合が定める「世界食品安全の日」です。
安全な食品は、人間にとって健康で豊かな生活を送るためには不可欠です。 世界では、毎年 10 人に 1 人の割合で、安全でない食品に起因する病気にかかっています。「世界食品安全の日」は、すべての人々に食品安全についての関心を高め、食品に由来する病気を防ぐための行動を促すために制定されています。
十分な量の安全な食料へのアクセスは、生命を維持し、健康を促進するための鍵です。食中毒は通常、本質的に感染性または有毒であり、細菌、ウイルス、寄生虫、または化学物質が汚染された食品や水を介して体内に侵入することによって引き起こされ、通常の目には見えないことがよくあります。
食品の安全性は、生産から収穫、加工、保管、流通、調理、消費に至るまで、フードチェーンのあらゆる段階で点検、確保されることによって達成されます。
国際農研は、東南アジアの伝統食に対し、科学的知見を駆使して食品安全性の向上につながる技術的解決策を開発してきました。
例として、タイをはじめラオス、ベトナム、カンボジア、ミャンマーおよび中国南部で生産、消費される発酵型米麺という伝統食品があります。発酵由来の乳酸を含む発酵米粉を原料とし、その生地を熱湯中に細長く押し出して麺状に加工する製品は、一般的に常温で3日程度の保存が可能とされますが、水分の滲出を伴って麺の形が崩れ、液状化する場合があり生産・流通上の問題となっています。
国際農研は、タイ発酵型米麺の液状化の原因が、細菌による澱粉分解に起因することを突き止め、少量の食用酢酸を使い、麺の保存を確保する方法を提案しました。さらに昨年9月には、タイで発酵米麺液状化抑制技術のワークショップを行うなど、技術普及につながる活動も行っています。 紹介された技術は、製造業者の経済損失の回避に貢献すると同時に、昨今のタイの食品で使い過ぎが懸念される合成保存料を使用しない方法であり、消費者の安全・安心の確保にも寄与するものと期待されます。
(文責:生物資源・利用領域 丸井 淳一朗)