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747. リジェネラティブな農業を考える

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747. リジェネラティブな農業を考える

近年、世界的に民間企業や市民社会を中心に、フードシステム・農業システムを転換する方法の一つとして、リジェネラティブ・アグリカルチャー、リジェネラティブ・オーガニック、など、「リジェネラティブ」を掲げる農業の在り方を推進する運動が高まってきています。

英語辞典によると、リジェネラティブとは、壊れたものを再生し、活性化する、という意味があるようです。たしかに、現在の農業やフードシステムは、気候変動や生物多様性の消失という、現代においてもっとも深刻な環境危機の最大の原因の1つです。農業は人類にとって必要不可欠ですが、現状の農業システムには転換が必要です。

他方で、農業は、ローカルな農業気候土壌学的条件(緯度や地形に規定される季節・年ごとの気温・降雨パターン、土の化学・物理・生物学的条件など)、および 社会経済条件(経営規模・組織、労働・資本・知識等の資源賦存、など)、さらに農村コミュニティにおける土・水管理の歴史や経験に規定され、極めて多様な様相を示します。日本はといえば、次の特徴が思い浮かびます。

 

  • アジアモンスーン:高温多湿・稲作水田・小規模農家
  • 南北に広がる国土:異なる緯度【気温・日照時間】ごとに多様な食産品の比較優位

 

世界の農業生産事情は多様であり、その転換は簡単なことではなく、世界のすべての状況を解決できる万能策はありません。また、世界人口や農村・都市人口比率などの社会経済構造は、100年前、現在、そして将来とでは異なり、世界の食料安全保障維持のための農業の役割も変容していきます。時計の針を単に巻き戻すのではなく、技術・経済進歩を取り入れ、世界各地の事情に応じたリジェネラティブ・パスウェイの模索が必要になります。

そんな中でも、世界各国の政府や市民社会、そして民間企業や農業者が、フードシステム転換について真剣に考え、個々人が食や農への意識を変えていき、日々できることから着手していくことが重要です。そのためには、生産者を中心として研究者・企業・個人が食に関する情報共有を通じ、世界や自然、社会とのつながりについての認識を高めることが、個々人に持続的な食生活の実行を促し、食料システムの転換を実現する第一歩となりえます。

 

このたび、アウトドア企業のパタゴニアが、日本において「リジェネラティブ・オーガニック」をテーマにした初めてのカンファレンスを開催し、日本の気候風土に適した解決策としての農業についての議論を国内に広げ深めていく機会を提供します。国際農研からは、「地球と食料の未来のために フードシステムと日本にできること」と題して、今日の農業・フードシステムの在り方を俯瞰する講演を行います。ぜひ、ご参加ください。


リジェネラティブ・オーガニック カンファレンス 2023
~解決策としての農業をともに考える~

開催概要
日時:4/13(木) 10:00〜16:00
参加費:無料 ※要参加申込
参加方法:オンライン視聴
※参加申込者に限り、後日、期間限定のアーカイブ配信を予定
申込締切:4/10(月)18:00まで
主催:パタゴニア・インターナショナル・インク日本支社
協賛:ドクターブロナー
プログラム詳細および参加登録特設ページ(外部リンク) 
https://www.patagoniaprovisions.jp/pages/ro-conference-2023


 (文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

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