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561. FAO「食の安全の未来を考える」予測報告書を出版

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561. FAO「食の安全の未来を考える」予測報告書を出版

持続可能な方法で生産され、より安全・安価で健康的な食事をすべての人に提供することを目指したアグリ・フードシステムの変革が進んでいます。これは、公正で公平な生活の実現を目標としており、国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」達成への鍵となっています。

食の安全はアグリ・フードシステムの要であり、すべての関係者は、気候変動や人口増加、天然資源の枯渇など、複数の課題に対応しながらも、今後発生しうる脅威、混乱、課題を乗り切るため準備を行う必要があります。

これを受けてFAOは、予測報告書「食の安全の未来を考える」を出版しました。この予測は、アグリ・フードシステムの内外を問わず、食の安全、ひいては消費者の健康、経済、国際貿易にまで影響を与えるような要因やそれに関連する傾向を示しています。

本報告書では、世界の主要な要因と傾向の概要として、以下の8つを取り上げています。

  • 気候変動:気候変動に対処するための備えを強化することは、食料安全保障に恩恵をもたらすだけでなく、アグリ・フードシステムの回復力を高めることにもつながる。
  • 消費者行動と嗜好の変化:消費者の購入と消費習慣の変化により、潜在的な食の安全リスクの可能性があり、消費者の健康を守るためにも評価が必要である。
  • 新しい食品源と生産システム:新しい食品源(昆虫食、クラゲ、代替肉、培養肉等)に対する食品安全性の議論も必要である。
  • 都市化:都市農業の重要性の認識と都市部の食料システム特有のガバナンスと適切な枠組みの確立が重要である。
  • 技術の進歩:新しい食品包装や食品製造における3Dプリントといった新技術に対しても、食の安全の観点から、その利益と脅威について慎重に評価する必要がある。
  • マイクロバイオーム:食品添加物や医薬品、環境汚染物質による腸内細菌への影響、及びそれによる人への影響について得られた新しい安全リスク評価の知識が役立つ。
  • 循環経済:循環経済を目標としたシステムベースアプローチはアグリ・フードシステムにとって有望だか、食品の様々な分野において適用する前に考慮する必要がある。
  • 食品偽装:食品偽装の増加に視点をおくのではなく、食品偽装に対処し、意識の向上と食品管理システムで構築される信用こそが重要である。


食の安全に及ぼす要因と傾向を早期に特定し評価することで、新たな機会を活用でき、課題に対処するための戦略的計画と備えが促進されます。


*本Pick Up記事は、講習生受け入れ制度にて、茨城県立並木中等教育学校の仲柴雄貴さんと作成しました。

(参考)
Thinking about the future of food safety
https://www.fao.org/documents/card/en/c/cb8667en/

(文責:情報広報室 金森 紀仁)

 

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