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528. 食料・エネルギー・金融システムへの戦争のインパクト

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528. 食料・エネルギー・金融システムへの戦争のインパクト

ロシア・ウクライナ問題は、COVID-19パンデミックへの対応に追われる世界にとって、最悪のタイミングで起こりました。食料、エネルギー、肥料価格の高騰は、世界をさらに不安定化させるリスクを高めています。4月13日、国連はグローバル危機レスポンスグループによる報告書を発表、世界人口の五分の一に相当する17億人の人々が、ウクライナ戦争による食料・エネルギー・金融システムに波及するリスクのいずれか一つに大きく影響を受けるとの懸念を表明しました。 以下、報告書のメッセージを紹介します。

ウクライナとロシアは小麦・オオムギの30%、トウモロコシの20%、ヒマワリ油の50%以上と、世界的に重要な商品作物を供給する穀倉地帯であり、世界食料安全保障にとって重要な役割を果たしています。同時に、ロシアとベラルーシあわせ、世界の肥料輸出の5分の1を占めています。先日発表されたFAO報告書でも、食料価格が1990年以来の高値を付けたことが報告されました。輸出規制の回避にとどまらず、肥料・輸送コストの高騰に直面する生産者に対する支援が必要とされています。

同様に、原油価格は60%高騰し、ガス・肥料価格も2倍に上昇しました。エネルギー価格の高騰を受け、化石燃料の備蓄・投資の動きがあり、再生エネルギーへのシフトから逆行しかねない傾向も見られます。今こそ化石燃料からの脱却を目指す代替エネルギー源への移行を加速すべきです。

我々は世界的な債務危機に瀕しています。今回の危機以前から、COVID-19や気候変動の影響で、とりわけ島嶼途上国をはじめとする途上国は輸出収入の多くを債務支払いに充てていました。国際社会が協調して危機を乗り越える必要があります。

(参考文献)
United Nations. Global Impact of war in Ukraine on food, energy and finance systems BRIEF NO.1. 13 APRIL 2022  https://news.un.org/pages/wp-content/uploads/2022/04/UN-GCRG-Brief-1.pdf 

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

 

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