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365.耕畜エネルギー複合システムは温室効果ガス排出削減に効果 - ベトナム・メコンデルタで環境へのインパクトを評価 -

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365.耕畜エネルギー複合システムは温室効果ガス排出削減に効果
- ベトナム・メコンデルタで環境へのインパクトを評価 -

国際農研は、農研機構、宮崎大学、ベトナム・カントー大学と共同で、メコンデルタにおいて、水稲作、肉牛生産を単独で行う専業システムと、水稲作と肉牛生産を組み合わせた複合システムの環境へのインパクトをライフサイクルアセスメント(LCA)により評価し、複合システムは、温室効果ガス(GHG)排出量およびエネルギー消費量を削減でき、富栄養化のポテンシャルも低下させることを明らかにしました。

ベトナム南部に位置するメコンデルタは、恵まれた地形、気候条件を背景に、同国全体のコメ生産量の約半分を生産しています。また、ベトナムでは畜産物の需要が急速に伸びており、米ぬか等の副産物が豊富に存在する同地域は、将来的に肉牛生産が拡大することが予想されています。一方、水田や牛などの反芻家畜は、農業分野でのGHGの主要な排出源となっているとともに、副産物である稲わらは水田に鋤き込んだり、焼却されたりしており、飼料資源として有効に活用されていません。

複合システムでは、専業システムで水田へ鋤き込まれている稲わらや草地に排出される肉牛のふん尿を資源ととらえ、稲わらを肉牛の飼料、ふん尿をバイオガスの原料として利用します。また、バイオガス生産に伴い発生する消化液も水田の液肥として利用します。こうすることで、水田から発生するメタンの排出が減るなどの効果により、ライフサイクルで比較したGHG排出量が22%削減できます。また、バイオガスの利用等によりエネルギー消費量も22%削減でき、家畜のふん尿に由来する富栄養化ポテンシャルを14%低減する効果もあります。

今回の研究成果により、水稲作と肉牛生産を組み合わせた複合システムは、水稲作、肉牛生産の専業システムよりも地球環境、地域環境への負荷が少ない、優れたシステムであることが検証できました。ベトナムを含むアジアモンスーン地域では、水田からのメタン排出が国内のGHG排出の主要な部分を占めている国が多く、また、経済発展に伴い、牛肉の消費も増えています。気候変動に関するパリ協定では、各国が自国が決定するGHG削減目標を提出することになっています。今回提示した耕畜エネルギー複合システムが、アジアモンスーン地域の国々の削減目標の達成に貢献することが期待されます。

(参考文献)
Ogino et al. (2021) https://doi.org/10.1016/j.jenvman.2021.112900

(文責:農村開発領域 泉太郎)