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513. 今こそアフリカに栄養を:2022年はアフリカ連合の栄養年

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513. 今こそアフリカに栄養を:2022年はアフリカ連合の栄養年

今回は、アフリカ開発銀行のアデシナ総裁がNature food誌のエディターへの書簡という形で掲載した文章から一部を要約してご紹介します。

アフリカでの栄養問題は深刻です。アフリカ大陸全体で約2億5000万人がお腹を空かせたまま床に就きます。アフリカ連合による2019年の調査によると、5歳未満の5,600万人は慢性的に栄養不足であり、1,300万人は飢餓のリスクにさらされています。あまりにも長い間、アフリカ諸国は、人々に持続可能で健康的な食事を提供するために必要な投資を行うことができませんでした。

このままで良いわけがありません。栄養は、健康、福祉、教育、繁栄、公平を促す基盤です。今こそ、アフリカの食料安全保障・栄養問題に本格的に取り組む時なのです。食料安全保障は、持続可能な経済成長と発展というアジェンダ2063(注:アフリカ連合によるイニシアチブ)を実現するために重要です。このため、アフリカ連合は、2022年を栄養年と宣言しました。アフリカの指導者たちは、あらゆる形態の飢餓を終わらせるというコミットメントを早急に強化しなければなりません。

African Leaders for Nutrition(2018年に設立された栄養プラットフォーム)は、栄養年に3つの評価基準を提案しています。1つ目は、包括的な栄養行動計画への投資を確保することです。 2つ目は、迅速かつ簡単に提供できる費用対効果の高い介入を特定することです。 そして3つ目は、アフリカのリーダーたちが国連の持続可能な開発目標(SDGs)と国際栄養目標に沿って飢餓と取り組む際に説明責任を果たすよう促すことです。大陸栄養説明責任スコアカードといったものも提案されています。

アフリカには世界の未開墾耕作適地の65%が存在し、豊富な天然資源にも恵まれています。この大陸の人々が栄養不良に苦しむべき理由はありません。 2021年の国連フードシステムサミットでは多くのコミットメントが示され、その勢いをうけたアフリカ連合の栄養年は、コミットメント実現への決意を強固なものにします。 2050年までに人口が倍の24億人になるのです。失敗は許されません。

参考文献
Adesina, A.A. It’s time to nourish Africa once and for all. Nat Food 3, 182 (2022). https://doi.org/10.1038/s43016-022-00480-4

(文責:情報広報室 白鳥佐紀子)

 

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