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408. ネット・ゼロ概念

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408. ネット・ゼロ概念

気候変動対策に対する国際的な議論において、ネット・ゼロという言葉が話題になります。ちょうど昨年10月末、日本政府も2050年までにカーボンのネット・ゼロ排出達成を目指すことを表明しました。

 
ネット・ゼロという概念は、オックスフォード大学で物理学の教鞭をとるMyles Allen教授らが15年ほど前に提唱しはじめた概念だそうです。
 
ネット・ゼロは、化石燃料等の使用でカーボン1トンを排出するごとに、大気中からのカーボンを植林等により1トン吸収固定する、というイメージで理解されます。 二酸化炭素を排出すると、それは長期的に大気中にとどまります。これに対し、木を植えることで、木がそこにある限りはカーボンを閉じ込めることができます。しかし、気候変動に伴い、気温上昇によって森林火災のリスクが高まったり、不適切な気象条件へシフトすることで、森林自体が消滅する可能性も出てきます。長期に大気にとどまる化石燃料由来のカーボンを、一時的に森林で固定するやり方は、持続的ではありません。永遠に石(rocks)を木(trees)に転換し続けることは不可能です。そこで、森林だけでなく生物圏を含む自然を保全しつつ、化石燃料の使用を削減していく必要があります。カーボンを土壌に固定していく必要性もあります。これがネット・ゼロの考え方とのことです。

教授は、ネット・ゼロは、単年度ではなく、半世紀をかけて取り組んでいくべき課題であると主張しています。もし政治家が目標を掲げれば、技術・イノベーションへの投資によって、気候変動は緩和しうる、と主張しています。

参考文献

University of Oxford. Why Net Zero (and what is it?)  News &Events. October 25, 2021. https://www.ox.ac.uk/news/2021-10-25-why-net-zero-and-what-it?ref=image 

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

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