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407. 2020年、大気中の温室効果ガス濃度、および、アジアにおける気温は過去最高値を記録

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407. 2020年、大気中の温室効果ガス濃度、および、アジアにおける気温は過去最高値を記録


10月25日、世界気象機関(WMO)は、2020年に大気中の温室効果ガスの濃度が記録を更新し、2021年も上昇トレンドが続いていると発表しました。 大気中の二酸化炭素(CO2)濃度は産業革命以前比で149%、メタン(CH4)は262%、亜酸化窒素(N2O)は123%に達しています。COVID-19による経済活動の鈍化は、大気中の温室効果ガスの水準に影響を及ぼさなかったことを意味します。


10月26日には、同機関が2020年アジア気候白書を発表、アジアは過去最高の気温を記録したことを報告しました。  2021年の気温は1981-2010年平均比で1.39℃(1.42 +/- 0.13 °C )高く、ロシア・北極圏では38℃を観察しました。東アジア・南アジアの夏季モンスーンは異常に活発で、頻発する台風とともに、洪水や地滑りに伴う多くの犠牲者を出しました。こうした極端気象は、アジアで多くの人命や住まいや生活基盤を奪い、日本でも830億ドル相当の甚大な被害をもたらしました。


アジアにおける食料・栄養安全保障状況の改善は鈍化し、2020年に東南アジアで4880万人、南アジアで3.05億人、西アジアで4230万人が低栄養状況にあったと推計されます。COVID-19の食料安全保障の真の影響についてはまだ推計が終わっていませんが、2019年比で、栄養失調にある人々の数は、東南アジア・西アジアで6%、南アジアで20%増えたとされ、気候関連災害がさらに問題を悪化させました。

こちらに報告書のビジュアル版リンクが示されています。
 
アジアの食料・栄養安全保障状況の改善には、極端気象のリスクに強靭で、かつ気候変動を緩和するイノベーションが必要となります。とりわけ、食料の生産性を維持しながら、農業由来のカーボン・メタン・亜酸化窒素等の温室効果ガス削減を可能にするようなイノベーションを、各地域の事情に合わせて適応していく必要があります。

日本の食料・農林水産業は、大規模自然災害・地球温暖化、生産者の減少等の生産基盤の脆弱化・地域コミュニティの衰退、新型コロナを契機とした生産・消費の変化などの政策課題に直面しており、将来にわたって食料の安定供給を図るためには、災害や温暖化に強い食料システムの構築を推進していく必要があります。 これを受け、農林水産省では、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現する「みどりの食料システム戦略」を策定しています。

2021年のJIRCAS国際シンポジウムでは、アジアモンスーン地域における持続的なフードシステム転換におけるイノベーションとプラットフォームの役割について議論します。11月17日オンライン配信開始となりますので、ぜひご視聴ください。

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

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