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59. 2020年5月の気温・二酸化炭素濃度 ― 世界レベルで過去最高値を記録

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世界気象機関(WMO)は、2020年5月は記録上最も暖かく、1981-2010年の間の5月平均気温に比べて0.63℃高かったとするコペルニクス気候変動サービス(Copernicus Climate Change Service C3S)の報告を発表しました。直近の12か月間も平均より0.7℃高く、過去最も暖かかった12か月間記録を更新しました。このデータは、衛星・船舶・飛行機・世界中の気象基地からの数十億以上の計測値に基づきコンピューターで解析された結果です。コペルニクス・データは、アメリカ海洋大気庁(NOAA)、NASAやイギリス気象庁、日本気象庁のデータと合わせ、WMOの分析に使われています。

平均以上の気温を記録した計測地の多くは、平均値より10℃以上高い気温を記録したシベリア周辺でした。そのほか、アラスカ西部、チリとアルゼンチン国境沿いのアンデス地域、南極大陸西部と東部、北米大陸西部、南米の極北・極南、アフリカ西部・中部・南西部、東南アジア、といった地域で平均より高い気温を記録しました。平均よりも低い気温を記録した地域は、カナダ中部・東部、アメリカ東部、ブラジル南部、南アジアの一部、オーストラリア、でした。

ハワイのマウナロア観測所で計測される二酸化炭素濃度は、2020年5月、月別の最高計測値を記録しました(417.1 parts per million)。ただし二酸化炭素濃度は季節的・地域的変動に左右されるため、年間世界平均値はマウナロアの月別計測値ほど高くない可能性はあります。地球科学研究者のRalph Keeling氏は次のように述べています。「人々は、コロナウイルス危機への対応が二酸化炭素水準に余り影響を及ぼしていないことに驚くかもしれない。二酸化炭素の蓄積は埋め立て地のゴミのようなもので、排出し続ける限り累積し続ける。コロナ危機は排出速度を遅らせてはいるが、マウナロアで感知されるほどには至っていない。より重要なのは、今後この状況から脱していく際の(排出)軌道に依存するだろう。」

 

参考文献

Climate Change Service. Surface air temperature for May 2020 https://climate.copernicus.eu/surface-air-temperature-may-2020

World Metrological Organization.  Record CO2 levels and temperatures highlight need for action on World Environment Day. June 5, 2020. https://public.wmo.int/en/media/news/record-co2-levels-and-temperatures-highlight-need-action-world-environment-day

UN. May confirmed as warmest on record, CO2 levels hit new high despite COVID economic slowdown 5 June 2020. https://news.un.org/en/story/2020/06/1065732?utm_source=UN+News+-+Newsletter&utm_campaign=ceb736e409-EMAIL_CAMPAIGN_2020_06_05_04_35&utm_medium=email&utm_term=0_fdbf1af606-ceb736e409-107327774

 

(文責:研究戦略室 飯山みゆき)

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