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1272. 大気中二酸化炭素濃度の記録更新

1272. 大気中二酸化炭素濃度の季節ピーク更新
NOAA(アメリカ海洋大気庁)とカリフォルニア大学サンディエゴ校スクリプス海洋研究所の科学者らは、ハワイにあるNOAAマウナロア観測所で、大気中の二酸化炭素濃度の季節ピークの観測値が初めて430ppmを超えたと報告しました。
スクリプス海洋研究所の科学者らは、2025年5月の月平均値を430.2ppmと算出、この値は2024年5月の測定値426.7ppmから3.5ppmの増加となりました。NOAAグローバルモニタリングラボの科学者らは、昨年から3.6ppm増加となる平均430.5ppmを報告しました。
他の温室効果ガスと同様に、CO2は毛布のように熱を閉じ込め、下層大気を温めます。これにより気象パターンが変化し、熱波、干ばつ、山火事、さらには豪雨や洪水などの異常気象を引き起こします。 CO2濃度の上昇は海洋酸性化にも寄与します。
マウナロア火山の斜面高所に位置するマウナロア観測所は、海抜約3,300メートルの高さにあります。1958年、スクリップス研究所の科学者チャールズ・デイビッド・キーリング氏は、この観測所敷地内でCO2濃度のモニタリングを開始しました。キーリング氏は、北半球のCO2濃度が5月にピークに達し、生育期に低下し、秋に植物が枯れると再び上昇することを初めて認識しました。これらのCO2変動の記録は、後に「キーリング曲線」として知られるようになりました。キーリング氏は、季節変動に加えて、CO2濃度が毎年上昇していることを初めて認識した人物でもあります。
マウナロア観測所は、地球規模のCO2濃度上昇を捉える上でのベンチマークとなる気候監視ステーションと考えられていますが、大気中のCO2濃度の変動を完全に捉えているわけではありません。南半球の観測所は、まだ430ppmを超えておらず、逆サイクルとなっています。世界中のサンプリングステーションからの測定結果は、国際的な気候科学者と政策立案者のための基礎研究データセットを提供しています。
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)