Pick Up
1077. 大気中の二酸化炭素の動き
1077. 大気中の二酸化炭素の動き
NASAは高解像度のデータを用い、2020年1月から3月の期間において、風や大気循環によってもたらされる大気中の二酸化炭素ガス濃度の動きを可視化した映像を発表しました。
この高解像度の映像は、二酸化炭素が発電所・森林火災・都市部から排出され、大陸や海洋に広がっていく様子を捉えています。
二酸化炭素排出源に関して、中国・アメリカ・南アジアにおける排出の殆どは、発電所・産業設備・車両等によるものですが、アフリカ・南米においては土地利用変化・農業に由来する野焼きや森林破壊・石油や石炭の燃焼に伴う火災が原因となっています。
映像はまた、二酸化炭素の排出が脈を打っている様子を捉えています。第一の原因として、火災のパターンが日中に始まって夜には収まることが挙げられます。第二に、樹木や植物の光合成による二酸化炭素吸収と排出を反映しています。地球の陸域および海洋は二酸化炭素の50%を吸収しますが、とくに中~高緯度の森林が多い地域で脈拍が大きく、また映像データ取得時期が南半球の夏にあたることから、南米熱帯地域での脈拍が大きく観察されます。
数十億の衛星・地上データをスーパーコンピューターで解析して得られる高解像度のモデルは、二酸化炭素の大気中の動きが地球システムでどのような複雑な動きをするのかの理解に貢献することが期待されています。
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)