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651. 2021年 温室効果ガスの大気中濃度の記録更新
651. 2021年 温室効果ガスの大気中濃度の記録更新
世界気象機関は、2021年、大気中における二酸化炭素・メタン・亜酸化窒素という3つの主要な温室効果ガスの濃度が記録を更新したと発表しました。とりわけ、40年前に体系的な測定を開始して以来、メタン濃度は2020年から2021年の変化率で最大の上昇を示しました。この原因はまだ明らかではありませんが、湿地帯や水田といったプロセスに起因する可能性があります。不確実性があるものの、温暖化が進むことで酸素のない水中の有機物の分解が早くなりメタン排出が進むという気候変動フィードバックがおこるとすれば、熱帯地域の湿地帯で湿度・温度が高まることで、より排出が多くなることも考えられます。また、毎年変動する自然的プロセスによることも考えられます。2020-2021年は、ラニーニャ現象により、熱帯地域での降雨が増加していました。
2022年は、1992年に世界の1700人を超える科学者らが人類に迫りくる危機に対する警鐘を鳴らしてから30年目になるといいます。この最初の警鐘から、世界の温室効果ガス排出は40%上昇しています。現在の政策のままでは、2100年までの気温上昇が、過去300万年の間人類が経験したことのない3℃に達しかねません。著名な 研究者らは、地球は「厳戒警報Code Red」状態にあると警鐘を鳴らし、抜本的な政策アクションの必要性を呼びかけました。
今週末の11月6日(日)から11月18日(金)にかけ、エジプト シャルム・エル・シェイクで国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)が開催され、産業化前と比較して気温上昇を1.5℃以内に抑える努力を追求するというパリ協定の「実施」(コミットメント)に向けた議論が行われるとみられています。
COP27に先駆けて、国際機関や科学者らが、各国がこれまでに表明した温室効果ガス排出のための約束に対し、パリ協定を達成するための2030年までに削減すべき排出量との差、「排出ギャップ」を埋めるための具体的な行動を強く求めています(排出ギャップの話題については、後日紹介する予定です)。
(参考文献)
William J Ripple et al, World Scientists' Warning of a Climate Emergency 2022, BioScience (2022). DOI: 10.1093/biosci/biac083
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)