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903. 2022年、大気中温室効果ガス濃度が史上最高値を更新

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903. 2022年、大気中温室効果ガス濃度が史上最高値を更新

11月15日、世界気象機関(WMO)は、2022年の大気中温室効果ガス濃度が史上最高値を更新したと発表しました。

2022年、大気中の二酸化炭素濃度は産業革命以前比で50%を超えました。CO2の増加速度は、前年に比べて少し減速したものの、WMOはカーボンサイクルの短期的な変動によるものだろうとし、産業活動とともに温室効果ガス排出は高まり続けているとしました。地球が今日と同じ程度のCO2濃度であったのは300-500万年前であり、当時は気温が2-3℃高く、海面は10-20m高かったとされています。

大気中のメタン濃度も上昇しました。メタン排出の40%は自然由来(湿地帯やシロアリなど)であり、60%が人為的な活動由来(反芻動物、水田稲作、化石燃料採掘、埋立地、バイオマス燃焼など)とされています。2021-2022年の伸び率は2020-2021年の伸び率よりも若干低かったものの、過去10年の平均伸び率よりはずっと高い値をとりました。

強力な温室効果を持ち、オゾン層破壊効果ももつ亜酸化窒素濃度も2021-2022年に史上最高の伸び率を記録しました。亜酸化窒素排出の60%が海洋・土壌などの自然由来で、残りの40%がバイオマス燃焼・肥料利用・その他様々な産業活動などの人為的由来とされています。

WMO事務局長は、長年にわたって科学者が警鐘を鳴らしてきたのにもかかわらず、温室効果ガス削減の努力は十分でないとし、化石燃料消費削減の努力を加速することを訴えました。

食料システムも人為的なメタン・亜酸化窒素の排出に関わっており、世界人口に栄養ある食を提供しながら温室効果ガス排出の削減を実現するためには、科学技術イノベーションを推進すると同時に、我々一人一人も食品ロス・廃棄の削減など食生活の在り方を見直していく必要があります。

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

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