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1179. 2024年、観測史上最速の大気中CO₂濃度上昇

1179. 2024年、観測史上最速の大気中CO₂濃度上昇
イギリス気象庁によると、1958年来のハワイ・マウナロアにおける長期的な測定記録において、2024年の大気中CO₂濃度が史上最速の年次上昇率を示しました。測定された上昇は3.58ppmで、予測値の2.84 ± 0.54ppmを大きく上回りました。
衛星による測定においても、化石燃料燃焼による記録的な排出量の影響が、熱帯林などの自然炭素吸収源の弱体化や異常な山火事によって増幅され、世界中で非常に大きなCO2上昇が観測されました。これらは、エルニーニョに部分的に関連する広範な高温・乾燥条件や、気候変動等の要因によるものでした。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によると、地球温暖化をパリ協定で合意された1.5°Cに制限するためには、大気中のCO₂蓄積は年1.8ppmに減速する必要があるとされています。
2024年から2025年に関しては、エルニーニョからラニーニャ条件への移行に伴い炭素吸収源が部分的に回復することから、CO₂の上昇は昨年ほど極端ではないと予測されています。しかし2.26 ± 0.56 ppmという予測ですら、1.5°Cの温暖化をオーバーシュートなしで制限するIPCCシナリオに沿うには、高すぎる排出速度であるといえます。
1月20日、米国で新政権が発足、トランプ氏は大統領就任直後にパリ協定からの離脱を表明しました。国際的な気候変動対策への影響が懸念されます。
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)