令和7年7月5日、日本プレスセンターにて、前野浩太郎主任研究員(生産環境・畜産領域)の著書「バッタを倒すぜ アフリカで」(光文社新書)が「科学ジャーナリスト賞2025」(主催:日本科学技術ジャーナリスト会議)の大賞を受賞し、贈呈式が執り行われました。
科学ジャーナリスト賞は、優れた科学報道や著作、科学コミュニケーション活動を顕彰する目的で創設され、今回で第20回を迎えます。前野主研は、アフリカを中心に農作物へ甚大な被害をもたらすサバクトビバッタの大発生メカニズムの解明と、その制御技術の開発に尽力してきました。ベストセラー「バッタを倒しにアフリカへ」の続編として執筆された本書は、研究成果と現地での奮闘をわかりやすく伝えている点が高く評価され、多くの選考委員から「大賞」にふさわしいと支持されました。
前野主研は、サバクトビバッタの「群生相」と呼ばれる高密度集団の形成や、オス・メスの群れの分化、産卵行動など、これまで明らかにされていなかった生態の詳細を現地調査と実験により解明しました。特に、産卵直前のメスがオスの群れに飛来し、交尾後は夜間に大群で地中に産卵するという行動パターンの発見は、農薬の使用量を大幅に削減できる新たな防除技術の開発につながる画期的な成果です。また、バッタの体温調節機構の解明と、人工衛星データを活用した大量発生予測技術の開発にも貢献しています。これらの研究は、サハラ砂漠での9年間にわたるフィールドワークを基盤としており、現地の防除機関とも連携しながら、持続可能な農業生産への貢献を目指しています。
今回の科学ジャーナリスト賞大賞の受賞を、心よりお祝い申し上げます。