日本も参加する世界的なコムギ研究ネットワークが、食料安全保障に貢献するためのコムギ研究戦略アジェンダを発表 ―コムギの持続的な生産拡大に向けた世界的な研究協力の推進―

世界的なコムギ研究ネットワークであるコムギイニシアティブ(Wheat Initiative, 以下「WI」という。)は、コムギの持続的な生産拡大を通じて食料安全保障に貢献するため、世界のコムギ研究の重点課題を定めた研究戦略アジェンダを、7月27日(現地時間)トルコのイズミールで開催されたG20主席農業研究者会合1)で公表しました。

WIは、2011年6月に開催されたG20農業大臣会合2)で設立が了承され、同年9月に発足しました。国際農林水産業研究センター(以下「JIRCAS」という。)が日本の代表機関となっています。WIには現在、日本を含む世界のコムギ生産国16ヶ国 3)と、国際農業研究機関である国際トウモロコシ・コムギ改良センター(CIMMYT)4)と国際乾燥地農業研究センター(ICARDA)5)やコムギに関係する企業が参加し、国際的な共同研究の推進や調整に関する議論を行っています。

今回公表されたWIの戦略的研究アジェンダ(Strategic Research Agenda,以下「SRA」という。)は、4つの中核研究課題((1)収量増加、(2)病虫害防止、(3)環境保全と持続的な生産、(4)品質と安全の保証)と2つの分野横断的研究課題((5)基盤技術開発と資源の共有、(6)知識の交換と教育)の計6つの課題について、短期(1~5年)、中期(5~10年)、長期(10年以上)の期間別に優先的に取り組むべき研究活動を提案するものです。

SRAを実行することにより、研究者だけでなく、コムギに関する各国の政策立案者や企業が協力し、コムギに関する様々な問題が解決され、コムギ生産の持続的な拡大を通じて世界の食料安全保障に貢献することが期待されます。

WIの戦略的研究アジェンダ(SRA)の詳細は、こちらをご覧ください。

(用語の解説)

1) G20首席農業研究者会合
2012年9月にメキシコ・グアダラハラで初めて開催されたG20メンバー国の農業研究に関するハイレベル実務者による会合。
2) G20農業大臣会合
2011年6月にフランス・パリで初めて開催されたG20メンバー国の農業大臣による会合。本年は5月7~8日にトルコ・イスタンブールで開催された。
3) WIに参加している16ヶ国
アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、ハンガリー、インド、アイルランド、イタリア、日本、スペイン、トルコ、イギリス、アメリカ
4) 国際トウモロコシ・コムギ改良センター(CIMMYT)
メキシコ・エルバダンに本部がある、国際農業研究協議グループ(CGIAR)傘下のトウモロコシとコムギに関する国際研究センター。
5)  国際乾燥地農業研究センター(ICARDA)
レバノン・ベイルートに本部がある、国際農業研究協議グループ(CGIAR)傘下の乾燥地農業に関する国際研究センター。

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